東北大学大学院医学系研究科 
周産期医学分野/婦人科学分野

Department of Obstetrics and Gynecology

国際学会参加報告/留学

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国際学会報告 2019年

The 6th Biennial Meeting of Asian Society of Gynecologic Oncology(韓国/仁川市)

開催期間:2019年10月11日~12日

張 雪薇

今回、私は2019年10月11-12日にかけて韓国仁川市で開催されたThe 6th Biennial Meeting of Asian Society of Gynecologic Oncology に参加し、“Tyrosine kinase receptor TIE-1 mediates cell growth by regulating PI3K/Akt signaling pathway in PI3K-high-expressing ovarian cancer”というタイトルで口頭発表を行ってきました。

二年に一回の大きな集まりで、著名な方から若手まで多くの研究者が集い、シンポジウム、オーラル共に活発なディスカッションが行われており、連日のセッションはとても内容の濃いものでした。世界中の研究者たちと交流することで、研究内容はもちろん、他国の考え方また、会場の器材、設備等、さまざまな面において日本の学会にはないレベルの高さを痛感した学会でした。

自身の発表については、海外の研究者たちとディスカッションすることで、自身の見聞を広げることができ、今後の研究遂行に役立つ機会となりました。また、Molecular Dissection of Ovarian Clear Cell Carcinoma など、興味深いシンポジウムが数多く行われていたり、自身の研究に関連する内容のポスター発表が行われたりと、自身の研究に活かせる知見を得ただけでなく、幅広い分野における最先端の研究成果を学ぶことができました。さらに、学会に来ていた他国の学生およびポーランド出身のポスドクの方と食事を交えて研究の討論や日常会話を交わすなどの交流をはかり、研究者の輪を広げる活動も行うことができました。

このように今回の世界最先端の国際学会を通じて、世界の婦人科腫瘍学の潮流を肌で感じ、研究面、語学面および文化の違いなど様々な点において学ぶことができ、非常に貴重な体験となりました。この学会で得たものを今後の研究や生活に生かしていきたいと思います。

懇親会の夜には、参加者全員は笑顔で夕食音楽会を開きました。音と光の美しさで会場の空気が一変し、まるで学術講演会ではないような雰囲気に魅力を感じ、大変楽しい時間を過ごすことが出来ました。

最後になりましたが、このような機会を与えて下さり、ご指導してくださった八重樫教授、石橋ますみ先生をはじめ、産婦人科教室の諸先生方に感謝申し上げます。

20th International Congress of Cytology(シドニー/ダーリングハーバー)

開催期間:2019年5月5日~9日

岡本 聡


2019年5月5日から9日までの5日間、20th International Congress of Cytologyに参加させて頂きましたので報告します。

学会は、シドニーのダーリングハーバーにあるインターナショナルコンベンションセンターで行われました。ターリングハーバーはもともと貿易港で造船所や倉庫が多く建ち並んでいたエリアだったようですが、現在はショッピングセンターや動物園、水族館、映画館、カジノ、レストラン、バーなどがあり、日本の横浜のみなとみらいのように海辺で食・買・遊が楽しめる場所です。

学会に参加したのは徳永先生、石橋先生、岡本で、ePosterで下記演題を発表しました。

徳永先生は、子宮頸部腺系病変の判定にp16(INK4a)/Ki67が有用であることを、石橋先生は子宮体癌I期の腹腔細胞診陽性が再発リスク因子であることを、岡本はセンチネルリンパ節での捺印細胞診の診断精度が迅速病理診断と同等であることを発表しました。岡本はBest ePosterに選ばれ、苦手な英語でのプレゼンを徳永先生と石橋先生に見守られながらなんとか終えることができました。

徳永先生:Efficiency of a dual p16(INK4a)/Ki67 immunocytochemistry to evaluate atypical glandular cells of the uterine cervix

石橋先生:Positive peritoneal cytology is a recurrence risk factor in stage I endometrial cancer

岡本:Diagnostic accuracy of imprint cytology for sentinel lymph node metastasis in endometrial cancer

さて、今回は子宮内膜細胞診のワークショップにも参加しました。参加者は22人で私の他は外国人でした(講師除く)。ワークショップでは報告様式「The Yokohama System」とその報告様式にリンクしたLBC(SurePaht)標本のための判定アルゴリズムについて学びました。実際に正常~悪性の12例のLBC(SurePaht)標本をアルゴリズムに従って判定することができとても勉強になりました。

最後に、学会への参加・発表の機会を与えてくださった八重樫教授、医局の先生方、誠にありがとうございました。

SGO 2019 婦人科腫瘍学会議Society of Gynecologic Oncology (SGO) Annual Meeting(ハワイ/ホノルルコンベンションセンター)

開催期間:2019年3月16日~19日

湊 敬道

SGO 2019 婦人科腫瘍学会議Society of Gynecologic Oncology (SGO) Annual Meetingは第50回であり、3月16~19までハワイ、ホノルルコンベンションセンターにて開催されました。当教室より、高野先生、徳永先生、湊の三人で参加させていただきました。
開催地のご紹介は皆様ご存じであると思われますので詳しくは控えさせていただきますが、イメージ通りのハワイであり、飛行機を降りて帰国までずっと快晴でした。

さて学会内容ですが、minimal invasive surgery (MIS)の報告がやはり気になりました。
昨年のNew England Journal of Medicineで発表された子宮頸癌のRadical hysterectomy開腹術VS MIS 対比においてPFS、OSは開腹より劣っているとの報告があり、今回はそれを裏付ける報告が各国よりありました。
その代わりに、なんとかMISが優位な点を見つけようとしている発表もあり、今後のさらなる解析によりMISの適応が変化するかもしれません。卵巣癌ではSOLOプロジェクトの追加報告もありました。
徳永先生のポスターセッションもカメハメハホールにて滞りなく、無事に終了いたしました。

海外学会ならではと思われるのが、#MeToo、LGBTのセッションがあり、腫瘍学会の域まで広まっていることに衝撃を覚えました(出席できませんでしたが・・。)

ダイアモンドヘッドの頂にてワイキキビーチを見下ろし、豪快なステーキを先生方よりごちそうになりました。
学会のレセプションは想像通りのフラダンスでした。
高野先生は過密日程のため、早々に帰国されましたが、徳永先生と私は学会最終日前日まで滞在させていただきました。
レンタカーを借り、ハナウマビーチへ行き、満員のため締め出され、名もなきビーチで波と戯れ、朝食にパンケーキを食べてみてなど、一通りガイドブックに載っていることは二人で満喫させていただきました。

初海外学会ともあり、自分の英語力の足りなさを痛感し、世界に通じる研究と英語力を携え再度SGOへ参加する意思を胸に帰国の途へつきました。

最後になりましたが、学会参加の機会を与えていただいた八重樫教授をはじめ、産婦人科教室の諸先生方に御礼を申し上げたいと思います。

ACOG(ACOG:American College of Obstetricians and Gynecologists)Annual Meeting 報告(テネシー州/ナッシュビル)

開催期間:2019年5月2日~6日

湊 純子

2019年5月2日から5月6日まで米国ナッシュビルで開催された米国産婦人科学会(ACOG:American College of Obstetricians and Gynecologists)のAnnual Meetingに参加させて頂きました。ナッシュビルは人口約60万人のテネシー州の州都で、カントリーミュージックをはじめとするアメリカ音楽の聖地といわれています。現在も中心街は生演奏のサウンドが一日中絶えることがないほどでした。ミュージックシティーセンターという数多くの音楽イベントも開催される施設が学会会場となりました。

1日目はオープニングセレモニーに出席し、続いてPresident’s Program Lectureを聴講しました。ACOGのPresidentが進行役で3人の演者を迎えて「母体死亡の予防」についてディスカッションを行っていました。日本でいうシンポジウムに近いですが、驚いたのはその発表スタイルです。ステージの真ん中で4人とも立派な椅子に座ったままリラックスした様子で講演とディスカッションを行っており、まるで「徹子の部屋」の収録を見ているようでした。

午後には、FellowとYoung Physicianが臨床問題についてクイズ形式で対戦するというユニークなセッションを聴講しました。2日目はACOG恒例のLunch conversationに参加しました。円卓にて1人の専門家を9人の参加者が囲んでディスカッションする形式です。私は「Successful Laparoscopic Entry」というテーマを選択し、まず専門家のレクチャーを聴き、Entryの手技や自施設での臨床経験についてディスカッションを行いました。米国ではBMI>40の患者で臍上の筋腫に対してもpulmer positionからentryして腹腔鏡手術を行うと聞いて驚きました。午後は私達のe-ポスターでの発表がありました。私は「肥満と高齢患者に対する子宮体癌リンパ節郭清の臨床的意義について」プレゼンテーションを行い、緊張しながらも無事に終えることができました。

夜はPAC partyに参加し、お酒を飲みながら交流を深め最後には若手医師も教授も皆一緒にディスコを楽しみました。3日目はConvocationというACOG Fellowの認証式に参加しました。グリーンのマントに身を包み誇らしげに歩くFellowの姿が印象的でした。3日間を通して、事前に登録したセミナーをいくつか聴講しました。米国では、9価の子宮頚癌ワクチンを接種し90%以上の子宮頚癌が予防可能になること、全ての卵巣癌患者に対してBRCA検査が保険適応であることなど日本との医療制度の違いを感じました。各セミナー終了後の質疑応答が非常に活発で、質問者は特に名乗ることもなく次々と質問していました。4日目はナッシュビルにあるヴァンダービルト大学病院を見学し、午後は観光を楽しみました。

ヴァンダービルト大学は大学創立のために多額の寄付をした実業家Vanderbilt氏に因んで名付けられた私立大学です。分娩は約4000件/年間、婦人科は専用の手術室を3室持っておりロボット手術をはじめ多くの手術が施行されていました。米国南部の中核病院であり、我々と同年代の若手医師が慌ただしくも生き生きと働いていました。

私がACOGに参加して印象的だったことは2つあります。1つ目は米国人のプレゼンテーション能力の高さです。オープニングセレモニーでのPresidentの講演はまるで大統領の演説を聞いているような人を惹きつけるプレゼンでした。各セミナーの講師、若いFellow達、さらにはレストランの店員、観光案内所のスタッフまで、堂々と大きな声で淀みなく、時にはユーモアを交えてプレゼンしていました。話の内容が理路整然としていたかまでは判断困難でしたが、自分達の話す内容に対して誇りと自信に満ち溢れていました。プレゼンに苦手意識を持っている私にとってとても衝撃的でした。2つ目は女性医師の活躍です。学会会場にいると女性医師が半分以上占めており、日本より多い印象でした。各セミナーの講師も女性の比率が高く、各分野の教授が自分達の功績や今後の展望について講演されていました。そして、今年のACOGのトップ(President)は女性でした。彼女は忙しい中、気さくに私達との写真撮影に応じねぎらいの言葉を掛け、2日目の夜には一緒にディスコを踊り、とてもチャーミングな方でした。また今回ACOGに参加した若手医師6名のうち私を含め3名が女性で、3名とも育児中でした。それぞれの環境で日々奮闘している彼女達と育児や仕事の悩みを共有することができ、今後の励みになりました。さらに今回一緒にACOGに参加された九州大学教授の加藤聖子先生と直接お話させて頂いたことも貴重な経験となりました。このように今回のACOG参加で、多くのVitality溢れる女性医師に出会うことができ、今後医師を続けていく上で大きな刺激となりました。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった日本産科婦人科学会、ACOG、東北大学産婦人科の皆様に心より感謝いたします。