国際学会参加報告/留学
HOME > 国際学会参加報告/留学
※年度をクリックすると情報が表示されます
開催期間:2026年3月28日~29日
岩間 憲之
2026年3月28日~29日に台湾の台北で開催されたThe 65th Annual Congress & the 12th International Symposium of TAOG (TAOG 2026)に参加しましたので、ご報告いたします。本学会は台湾最大の産科婦人科学会であり、台北国際会議センター(Taipei International Convention Center)において開催されました。台湾のみならず日本・韓国などアジア各国から多くの産科婦人科医が参加し、周産期医療や女性医学などに関する幅広いテーマについて活発な発表と議論が行われました。3月28日の J-K-T Session(Japan-Korea-Taiwan session) において、「Maternal Birth Weight as a Predictor of Adverse Pregnancy Outcomes in Japan: Findings from Epidemiological Studies」の演題で発表を行いました。日本の大規模出生コホート研究データを用いて、妊婦自身の出生体重(Maternal Birth Weight)が妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産といった妊娠合併症と関連することを示しました。本セッションでは、日本・台湾・韓国の研究者がそれぞれの研究成果を発表し、アジア地域における周産期医療や女性の健康管理に関する研究動向を共有する貴重な機会となりました。
今回の学会では、台湾産科婦人科学会の先生方より海外からの参加者に対して非常に温かい歓迎を受けました。空港送迎や学会期間中の各種イベントなど細やかな配慮をいただき、台湾の先生方のホスピタリティを強く感じました。また、日本・台湾・韓国の産科婦人科医が集まり、臨床や研究の現状について意見交換を行う貴重な機会となりました。学会終了後には海外からの参加者向けのツアーが企画されており、今回は宜蘭(Yilan)方面のツアーに参加しました。ツアーでは伝統文化施設の見学、台湾料理の昼食、Kavalan Whisky Distillery の見学などが行われ、台湾の文化や産業について理解を深める機会となりました。
今回のTAOG参加を通して、アジアにおける周産期疫学研究の重要性、妊娠合併症と女性の長期健康をつなぐ研究の意義について改めて認識しました。また、台湾の産科婦人科医療の活発さと国際交流への積極的な姿勢に触れ、大変刺激を受けました。今後もこのような国際学会への参加を通じて、東北大学からの研究成果を積極的に発信していきたいと考えています。






開催期間:2026年3月24日~28日
熊谷 祐作
シンガポールでの2年6か月に及ぶ留学生活を終え、家族とともに仙台へ帰国――そしてそのわずか5日後には、NY経由でカリブ海のプエルトリコへ。引っ越し疲れが残るなかでの学会参加という、なかなか“濃密”なスケジュールで今回のSRI参加はスタートしました。
今回の学会では、研究発表としては私自身初めてとなる口頭発表に挑戦しました。発表直前までスライドや原稿を調整し続ける日々でしたが、そのおかげもあり、大きなトラブルなく無事に発表を終えることができました。発表後に海外研究者の先生方から直接コメントをいただけたことは、大きな励みになりました。
学術的には、産婦人科領域における免疫研究、とくにマクロファージ機能に関する発表を中心に拝聴しました。基礎研究から臨床応用まで幅広い内容が扱われており、自身の研究テーマである周産期研究にも多くのヒントを得ることができました。「やはり免疫を勉強しなければ」と再認識する学会でもありました。また、学会会場ではSRIで再会するトロントの研究者の先生方をはじめ、国内外の多くの研究者とも交流することができました。こうした「研究そのもの」だけでなく、「人とのつながり」を感じられることも、国際学会の大きな魅力だと改めて感じました。
学会期間中の交流も非常に充実していました。留学時のボスであるシンガポール国立大学産婦人科のMatthew W. Kemp先生、共同研究者でありチリ・サンチアゴ大学産婦人科教授のSebastián先生、さらに東北大学医学系研究科産科学の大学院生である餅井則吉先生、髙橋新先生とも連携を取りながら観光、食事会を企画しました(実際にはスペイン語が分かるチリのチームが店を探してくれました)。山梨大学産婦人科教授の吉野先生や、奈良県立医科大学からサンディエゴへ留学中の三宅先生とも、プエルトリコ料理を囲みながら研究やキャリアについて多くのお話をすることができ、大変刺激的な時間となりました。
学会の合間には、プエルトリコならではの文化にも触れることができました。現地では、老舗ラム蒸留所であるRon del Barrilitoを訪れ、蒸留所ツアーと試飲を体験しました。ラムの熟成樽が並ぶ空間は独特の香りに包まれており、カリブ海文化と歴史を感じられる非常に興味深い時間でした。そして何より印象的だったのが、そこでいただいた本場のピニャコラーダです。これまで飲んだそれとはまったく別物で、濃厚なパイナップルの甘みとココナッツの香り、そしてラムの風味が絶妙に調和しており、「これが本場か……」と感動する美味しさでした。学会発表の緊張感から少し解放され、カリブ海らしい空気を味わえた、非常に贅沢なひとときでした。
一方で、プエルトリコらしい(?)ハプニングもありました。現地空港では空港職員の給与未払い問題の影響で使用可能なターミナルが1つに制限されており、出国時には空港全体が大混雑。私は吉野先生とともに、なんと250分かけて搭乗口へたどり着きました。もしこれが一人だったらかなり心が折れていたと思いますが、道中ずっと色々なお話を伺うことができ、結果的には非常に有意義な時間となりました。そして予想通り(?)、預けたスーツケースはロストバゲージとなり、帰国から5日後に自宅へ到着しました。最後までなかなかインパクトの強い旅でしたが、それも含めて忘れられないSRI参加となりました。
研究面でも人的交流の面でも、国際学会には日本国内だけでは得られない刺激があります。今後もこうした機会を大切にしながら、研究・臨床ともにさらに成長していきたいと思います。









開催期間:2026年3月24日~28日
髙橋 新
2026年3月24日から28日まで、プエルトリコで開催されたSRIに参加してきました。時差13時間、フライト15時間超で地球の反対側へ移動は大変でしたが、現地ではそれ以上の濃い時間を過ごすことができました。
今回の発表では、自身の学位論文のテーマである「絨毛膜羊膜炎のマウスモデル」に関する発表を行いました。英語には苦労しましたが、海外の研究者と議論を交わせたことは、大きな自信に繋がりました。
また、現地で光栄にも専門的な勉強会にお誘いいただき、参加する機会に恵まれました。最先端の知見に触れるとともに、国境を越えた研究者ネットワークの広がりを肌で感じ、非常に大きな刺激を受けました。
会期中はずっと雨続きでしたが、最終日には待望の晴天となり、鮮やかなカリブ海の青い海を望むことができました。その後は世界遺産である旧スペイン街やモロ要塞を巡り、プエルトリコの歴史と文化を満喫しました。
夜には、引率の熊谷祐作先生との飲み会や、現地の日本人研究者との食事会にも参加。リラックスした雰囲気の中で交流を深めることができ、非常に充実したひとときでした。この経験を糧に、論文の完成に向けて一層励んでいきたいと思います!
開催期間:2026年3月24日~28日
餅井 規吉

2026年3月24日から28日までプエルトリコで開催されたSRI学会に参加し、生殖医療や人工胎盤に関する最新の知見について幅広く学ぶことができました。まずは時差13時間、フライト時間合計15時間以上という長旅を経て現地に到着し、「これは学会前から修行だな」と感じつつ、翌日から無事に参加しました。人工胎盤についてはMatthew W. Kempt博士の発表を通じて、その歴史や今後の展望について理解を深めることができ、大変勉強になりました。
また、自身の人工胎盤下での胎児心臓カテーテルの発表では、多くの質問や率直なご意見をいただき、現時点での課題や限界を改めて実感する良い機会となりました。さらに、母校である山梨大学の教授による子宮内膜症のメカニズムの講演も非常に印象的でした。ポスター発表では宮崎大学の教授がマウスの実験モデルについて日本語で丁寧に説明してくださり、研究が本当に好きなのだなと強く感じました。英語があまり得意ではないため、Google 翻訳を駆使しながらではありましたが、なんとか他の発表に対して質問することもでき、自分にとって良い挑戦となりました。
会期中は天候に恵まれない日が続き、「ここは本当にカリブ海なのか」と思うほどでしたが、最終日のみ晴天となり、世界遺産であるモロ要塞を見学することができました。夜には引率の熊谷祐作先生やMattに連れられてラム酒の蒸留所見学や飲み会にも参加し、学会とはまた違った意味で充実した時間を過ごすことができました。全体として非常に充実した学会参加となりました。

砂も細かく海水温も程よいカリブ海


スペイン統治時代の世界遺産


SRIに参加してた他大学の先生たちとのお食事会
開催期間:2025年11月14日~16日
鈴木 優希
2025年11月14日から16日にネパールのカトマンズで開催されたアジア・オセアニア周産期学会学術集会(FAOPS)2025に富田芙弥先生と参加いたしました。また、学会の前後にネパールの医療機関の視察及び新生児蘇生法講習会の見学も合わせて行いました。
ネパールはインドと中国のチベット自治区に接する内陸国です。面積が約14.7万 km²(日本の約0.39倍)で、人口は約3000万人、民族・宗教・階層的社会構造が複雑に絡み合って存在し、現在も伝統的祭礼・山岳文化が残る素敵な国です。一方、富田先生のレポートにあるように周産期を含む医療・公衆衛生には課題が多いのが現状です。
11月は乾季にあたり、首都カトマンズは標高約1300mの盆地ですが、緯度は北緯27度(奄美大島あたり)のため滞在中は仙台より温かく過ごしやすかったです。
11月13日にカトマンズの医療機関(KIST Medical Teaching Hospital, Paropakar Maternity and Women’s Hospital)を視察しました。KIST Medical Teaching Hospitalは私立病院であり、充実した医療設備と十分な医療スタッフが配置されていました。特に印象に残っているのは公立病院のParopakar Maternity and Women’s Hospitalです。広い施設に多くの部屋とベッドがありましたが、重症の部屋から軽症の部屋まで細やかに分けられ、多くの部屋は患者とその付き添い・お世話をしている家族で非常に賑やかでした。また、病院にて分娩後退院した場合に病院と患者双方に手当が出る仕組みがあり、施設分娩を促進するための仕組みがありました。



11月17日に日本の新生児蘇生法委員会の協力のもと制度化されたNNCPR(Nepal National Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation) のインストラクターコースを見学しました。NNCPRプロトコールは自国の医療環境や慣習を踏まえて新たに作成されたもので、ネパールの先生方の熱心な姿勢が印象的でした。また、新たな制度を導入するときに重要となる視点について、日本の新生児蘇生法委員会の先生方と直接対話する機会を得ることができました。普段の臨床現場でも通じるものが多く、非常に考えさせられる経験となりました。

11月14日から16日に行われたThe 24th Congress of the Federation of Asia and Oceania Perinatal Societies (FAOPS) に参加いたしました。私は産後出血における分娩から搬送決定までに要する時間についてポスター発表しました。ポスターを見て興味を持ち質問していただいたにもかかわらず、自分の英語力不足でうまく伝えることができないことがあり、悔しく申し訳なく思いました。また、ネパールでは交通渋滞もひどく、特に山間部で救急搬送自体が難しい現状があります。今回の学会を通じて、『救急要請すれば救急車やドクターヘリが来る』という日本での前提条件が決して当たり前ではないことに改めて気付かされ、目の前の日本の課題とともに世界の救い得る命に対する問題意識をもつきっかけになりました。学会全体では各国の先生方(Presenterに限らず、ChairpersonやModerator、Questionerも)熱くご自身の主張を述べられているのが印象的でした。

学会以外の時間は活動的に観光地に行ったり、参加している日本人の先生方と楽しい時間を過ごしました。同じ日本から発表に来た他大学の産婦人科専攻医の先生方とも知り合うことができ、とても刺激になりました。ネパールのタクシーやバイクの運転はややスリリングでしたが、食事もどれもおいしく快適に過ごせました。



ネパールの餃子「モモ」と熱燗ビール「トゥンバ」
「一緒にカトマンズに行かない?」とお誘いいただき始まった初めての国際学会でしたが、このような貴重な機会をいただき大変感謝しております。Best Poster Awardという身に余る賞をいただきましたのは齋藤教授、富田先生をはじめ産婦人科の先生方のご指導ご支援のおかげです。今後とも精進してまいります。

開催期間:2025年11月14日~16日
富田 芙弥
FAOPS参加およびネパール医療視察のご報告
2025年11月14~16日にネパール・カトマンズの Radisson Hotel にて開催された第24回 FAOPS(Federation of Asia Oceania Perinatal Societies) に参加いたしました。
学会の前後には、ネパールにおける周産期・新生児医療の現状を直接学ぶことを目的として、医療機関の視察(11/13) および 新生児蘇生法講習会の見学(11/17) を行いました。教室からは鈴木優希先生と一緒に参加しました、鈴木先生のレポートと合わせてご覧ください。
ネパールは LMIC(Low- and Middle-Income Countries) に分類されます。
WHO 2024年データでは
・妊産婦死亡率(MMR):197/100,000(日本 3~4/100,000)
・新生児死亡率(NMR):17/1,000(日本 1/1,000)
と依然として高水準であり、母子保健改善が喫緊の課題であることが分かります。出生数は約55万と日本と同規模であり、新生児蘇生の対象は妊娠28週からです。
FAOPSのセッションでも「アジア全体で連携しLMICの母子保健指標を向上させていくべき」という発言が繰り返され、医療者の熱意を強く感じました。
カトマンズ市内の三次医療機関 3施設を視察しました。
| 病院名 | 種別 |
|---|---|
| Paropakar Maternity and Women’s Hospital | 公立 |
| KIST Medical Teaching Hospital | 私立 |
| Kathmandu Medical College | 私立 |
なかでも Paropakar Maternity and Women’s Hospital は 年間約27,000件の分娩を扱う非常に大規模な施設で、午後でも多くの妊産婦が受診・入院していました。
ICUでは癒着胎盤に対して子宮全摘後に膀胱損傷を来した症例の治療が行われており、日常診療との共通点も多く、強い親近感を覚えました。おいてある設備は日本などの先進国の支援もあり、日本と遜色のないレベルです。超音波もかなりハイエンドモデルでしたが、産婦人科医ではなくて放射線科医が超音波検査をするそうです。
一方で救急搬送体制は日本と大きく異なり、
•救急車は有料
•救急救命士制度がない
•事前情報の提供がほぼない
ため、具合が悪くなると家族の車やタクシーで病院へ向かうことが一般的とのことでした。
「困ったらすぐ搬送」という日本の周産期救急プロトコールは、そもそもの社会インフラ・制度設計が整備されているからこそ成立するものであり、国に応じた周産期医療教育・体制整備が不可欠であると改めて感じました。





今回は以下の2題を発表しました。
•子宮圧迫縫合の長期予後
•日本の新生児蘇生法委員会による全国調査
子宮圧迫縫合の演題には大きな関心をいただき、使用する針・糸、縫合の数など、手技の細部に関する質問が多数寄せられました。
新生児蘇生調査については、産婦人科医の私が発表したことが注目され、「職種の垣根を越えた連携が重要である」と座長のネパールの新生児科医よりコメントをいただきました。
ネパールでは、質問と同じくらい長い“コメント”が行われる文化があり、初日はプログラムが約2時間遅延、その後の日程も基本的に遅れて進行していました。ランチ時間が90分あったのですが、結局カットされてみんなセッションの間に勝手に食べることになるなど、日本では驚くような学会進行でした。ポスター会場も番号などはなく、それぞれが好きなところに貼付する衝撃的なスタイルでした。それでも学会運営は成り立つ、ということを知ることができました。




11月17日には、日本の新生児蘇生法委員会の協力のもと制度化された
NNCPR(Nepal National Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation) のインストラクターコースを見学しました。
会場は Paropakar病院併設の非常に整ったトレーニングセンターで、予想以上に近代的な設備が整備されていました。
驚いたことに、NNCPRプロトコールは講習会前日に完成したばかりという状況で実施されていましたが、講師の先生方は非常に熱心で、細部の改善点を議論しながら研修を進めている姿が印象的でした。
NNCPRは助産師向け一次蘇生教育 HBB(Helping Babies Breathe) より上位のプログラムとして設計されており、気管挿管・臍帯カテーテル挿入など高度なスキルにフォーカスしていました。海外の教育プログラムを“輸入”するのではなく、自国の医療環境に合わせて“自分たちの手で作り上げる”姿勢に強い刺激を受けました。

ネパールは気候が過ごしやすく、食事も美味しく、滞在中の体調不良もありませんでした。
物価は日本の1/2~1/3程度で、街では犬が大切に扱われており、人懐っこい犬に何度も出会いました。歴史ある寺院が街中に溶け込んでおり、ただ歩いているだけで文化や宗教観が感じられる国でした。
また、英語でのコミュニケーションについても学びがありました。
ネパール人のほとんどが英語を話しますが、双方が non-native であることで過度な緊張がなく、「間違わずに上手く話すこと」より「伝えようとする姿勢」や「理解しようとする姿勢」、「何を伝えたいか」が重要であると実感しました。ただし、学術的なことを伝えるには、英語力をかなり高めなくてはいけないとも同時に感じました。モチベーションの高いうちに、英語学習に力を入れたいです。





今回のFAOPS参加および視察の機会は、非常に学びの多い経験となりました。
この機会をいただけたのは、齋藤教授をはじめ東北大学産婦人科の皆さまのご支援があってこそであり、深く感謝申し上げます。
また、業務調整に協力してくださった同僚・後輩の皆さまにも、心より御礼申し上げます。
今回得られた知見を、今後の診療・教育・研究に確実に還元し、周産期救急・新生児蘇生教育の普及を日本およびアジア全体で推進するための取り組みにつなげていきたいと考えております。
開催期間:2025年09月14日~ 17日
髙橋 司

2025年9月14日から9月17日まで、メキシコ・カンクンにて開催された国際学会 ISUOG 2025 に参加いたしました。東北大学からは私一人での参加となりました。
これまで海外学会では聴講についていけず苦戦することもありましたが、留学経験を経て今回は終始楽しみながら学ぶことができました。
今回特に注目したのは 自然早産予防と頸管縫縮術 に関する発表です。
早産既往のない妊婦において、24週未満で頸管長が15mmを下回った場合には頸管縫縮術が推奨されていますが、新たなRCTのメタアナリシスにより 20mmを閾値とする方向へ推奨が変わる可能性 が示されました。本研究はすでに AJOG MFM にアクセプトされており、近く論文として発表される予定です。
また、妊娠高血圧症候群(HDP)と低用量アスピリンに関する報告では、発症を「予防する」というよりも「発症時期を後方へシフトさせる」という概念がわかりやすく紹介され、印象的でした。双胎妊娠におけるアスピリン療法については、現在進行中の大規模RCT(約2,400症例)が2028年頃に完了予定とのことです。FMFのProf. Kypros Nicolaidesによる発表は圧倒的な内容と聴衆の熱気に満ちていました。
また学会期間中は毎晩、日本から参加された先生方にお声がけいただき、交流の機会を持つことができました。異なる施設の先生方と日常診療の疑問点を相談でき、大変有意義でした。閉ざされた環境で情報交換を欠くことの危険性を改めて実感するとともに、学会の場で得られる新しい知見や議論の重要性を強く感じました。
ところで、私はといえば 「双胎妊娠における頸管長変化と早産リスク」 についてePoster発表を行いました。形式は限られていたものの、内容的には今後注目され得る報告であると期待が高まりました。論文投稿へ準備を進めていこうと思います。
日常診療における疑問から研究を行い、その成果を臨床に還元していく過程では、従来の常識が覆されることも多々あります。過去の慣習にとらわれず、常に最新のエビデンスを検討し、メタアナリシスなど多角的に評価する姿勢の重要性を改めて認識しました。今後は後輩たちともこの視点を共有していきたいと考えています。
最後に、私の学会参加中に日常業務を支えてくださった大学の先生方に心より感謝申し上げます。大学こそアカデミックな場であり、若手を含め国際学会に参加できる環境づくりが必要であると感じました。次回はぜひ後輩たちと参加したいと思います。



開催期間:2025年3月25日~29日
只川 真理
3/25~3/29アメリカ合衆国ノースカロライナ州、シャーロットで開催されたSRI (Society for Reproductive Investigation) 72nd annual meetingに参加しました。
私自身は3回目の参加になりますが、前回は大学院時代の2014年ですので、かなり久しぶりでした。SRIは産婦人科の学会ですが、基礎系の話が多く、世界中から多くの研究者がネタを持ち寄っています。
今回は齋藤翔子先生が胎児のNT-pro BNP上昇と関連のある胎児超音波パラメーターについてポスター発表を行いました。本格的な胎児心不全に至る前に胎児の末梢血管の血流速度が変化するということに興味を持ってくれた人も多くおり、私たちは多くのdiscussionを行いました。科学者としては当たり前の発想かもしれないのですが、「これからこういうこともやってみたら面白いかもね」とか、「今後はどういう風に研究を発展させていくの?」などとほぼ毎回聞かれ、科学を追求していくことの大切さを感じました。
会場を見て回った限り胎児超音波の話は多くなかったですが、妊娠糖尿病が胎児心奇形を起こす遺伝子の変化や子宮収縮の分子的機序の解明など面白い研究の他、ポスター会場では肥満と子宮口開大の関連、癒着胎盤におけるMRIの診断、妊娠初期の母体貧血と癒着胎盤の関連など臨床に即した研究も多くみられ、研究の原点は日頃の臨床、日頃の疑問にあるのだと改めて気付かされました。
学会以外の時間に関しては、同じく当院新生児科から参加していた池田先生、西オーストラリア大学に在籍している新生児科の臼田先生、シンガポール国立大学に留学中の熊谷祐作先生、両大学の羊グループメンバーと一緒にNBAの観戦に行ったり、夜な夜な食事に出かけ、とても楽しい時間を過ごしました。オーストラリアの皆さんもとても優しく気の良い方ばかりで、少し飲みすぎました。
時差ぼけにも完全にやられており、夜少ししか眠れなくて、昼も少し昼寝をして、という謎のリズムで過ごすことになってしまいました。12年前に同じくアメリカ東海岸に行った時は時差ぼけがひどくなかったので、老いを感じました。
このような貴重な機会を与えてくださった齋藤昌利教授、快く送り出してくれた周産母子センターの皆様、楽しい時間をくれた西オーストラリア大学とシンガポール国立大学の羊グループの皆様と齋藤翔子先生に大変感謝しております。これからも探求心を忘れずに産科医として頑張っていきたいと思います。
齋藤 翔子
2025年3月に米国シャーロットで開催されたSRI (Society for Reproductive Investigation) に参加し、ポスター発表を行いました。SRIは生殖内分泌・周産期・婦人科腫瘍の基礎から臨床研究まで幅広い内容が報告される国際学会で、当医局からも毎年複数名が参加しています。
今回は開催地が遠方であったためか当医局からの発表者は私1人、英語堪能な夫も子供たちとの留守番を選び、”初の国際学会”への不安が倍増しました。快く同行を引き受けてくださった只川真理先生には、心より御礼申し上げます。
発表内容は、臍帯静脈血中NTproBNPと関連する胎児超音波パラメーターに関する研究です。英語での発表や質疑応答は予想通り苦戦しましたが、参加者との議論を通じて理解を深めることができ、予測診断モデルに対するニーズの存在を実感する貴重な機会となりました。他の発表者への質問にも挑戦しましたが、「ゆっくり話してほしい」とお願いすれば丁寧に説明してくださり、拙い英語でも意見交換が可能であることを体感しました。
滞在中は、オーストラリア・シンガポールの研究者たち(詳細は羊実験チームの留学体験記を参照)とNBA観戦や夕食を共にし、日本人だけでは足を踏み入れにくいようなお店にも挑戦でき、非常に楽しい時間を過ごしました。チームの皆様に感謝するとともに、このような関係性を築いている当医局のありがたさを改めて感じました。
このような機会をくださった齋藤昌利教授、ご指導くださった先生方、事務手続きをサポートしてくださった庄子やす子さん、そして旅を共にしてくださった只川先生に、深く感謝申し上げます。
今後は研究・英語学習に励むとともに、国際学会への挑戦を迷う方がいる際には、少しでもお力になれればと思っています。






開催期間:2024年11月17日~22日
富田 芙弥
私は2023年より新生児蘇生法(NCPR)委員会に加わっています。そのきっかけは、宮城県立こども病院で開催されたNCPRインストラクターコースに講師として参加した際、新生児蘇生法委員会の先生方と親しくなったことでした。その際、私は新生児蘇生法を教える上で悩んでいることを相談するつもりで話していましたが、後に委員会に誘われたことは全く予想していなかったため、青天の霹靂でした。
自分は新生児蘇生の専門家ではなく、NCPR開催の実績も少ない中で、本当に役に立てるのか不安でした。しかし、NCPRは「アップデート」と「多様性」を重視しています。委員会の先生方から、
NCPRは多くの先生方の努力によって普及し、日本の標準的な新生児蘇生法として定着しています。その普及過程では多くの課題がありましたが、一つひとつ解決してきたことが現在につながっています。現在では、この知見を世界と共有することを目指し、NCPR産学協同ワーキンググループがインドネシア、モンゴル、カンボジア、ネパール、ブータンなど東南アジアを中心に活動しています。
特にモンゴルでは、NCPRが国のガイドラインとして認可され、日本と同様のトレーニングサイトを設置し、更なる普及を進める計画が進行中です。
話を今回の舞台であるインドネシアに移します。
インドネシアの母子保健指標は近年大きく改善していますが、母体死亡率(Maternal Mortality Rate: MMR)は17.7(10万人あたり)、新生児死亡率(Neonatal Mortality Rate: NMR)は11(1000出生あたり)と、依然として課題があります。
2020年頃からインドネシア小児科学会(Indonesia Pediatric Society: IPS)を中心に、独自の標準化新生児蘇生法コース「ResNeo ID」がスタートしました。しかし、コースを指導する人材が不足しており、指導者養成コースもない状況です。そこでNCPRが、ResNeo IDグループが指導者養成プログラムを実施するサポートを行っています。
オンラインおよび現地での指導者養成コース開催、日本でのNCPR Iコース見学を経て、今回2回目の指導者養成コースが開催され、NCPRメンバーが渡航することとなりました。これらの活動は、日本光電・ICnet・NCPRとの産学共同事業として、JICAの民間連携事業の枠組みで行われています。
私は以前、ResNeo IDメンバーが来日して見学したNCPR Iコースに講師として参加しました。その後の懇親会で、NCPR委員長の細野先生から「海外支援に興味ある?行きたい?」と聞かれ、即答はできませんでしたが、興味はあったため思い切って「行きたいです」と返事しました。その結果、今回の参加が実現しました。
インドネシアでは、ResNeo IDインストラクターコースを視察し、日本のNCPRの視点から改善点をアドバイスしました。例えば:
昨年も参加された先生によると、今年のResNeo IDコースでは運営の工夫が随所に見られ、参加者の理解度やインストラクターの指導力も大きく向上していたとのことです。この改善はNCPRがこれまで提供してきたアドバイスやサポートが有用であったことを確認できるもので、成果を実感する場面でもありました。
また、今後の普及に向けて、産婦人科医や助産師もインストラクターに加わるべきだという提案もしました。


今回、高次施設から助産院までさまざまな施設を見学しました。高次施設は日本と遜色ない設備が整っていますが、助産院では自己膨張式バッグの破損など、物品の活用には課題が残っています。また、分娩施設の壁に子癇発作の対応マニュアルが貼られているなど、妊娠高血圧の問題が顕著でした。一部の報告では、インドネシアでは24%の妊婦が妊娠高血圧症候群を抱えており、産後出血に次ぐ母体死亡の原因が子癇発作であることがわかっています。母体管理の改善が、母体・新生児死亡率の改善に直結する可能性があり、日本の知見を活用して支援できないか考えています。




今回の出張に際しては、所属する東北大学病院産科の齋藤教授をはじめ、職場の上司や同僚の皆さまに多大なご理解とご協力をいただきました。1週間という長期間、職場を離れることに対して不安もありましたが、「ぜひ行ってきて!」と背中を押していただき、本当に感謝しています。このようなサポートのおかげで、安心して海外での活動に専念することができました。得られた経験や知見は、今後職場や地域での医療活動にも還元していきたいと考えています。
また、新生児蘇生法委員会の先生方や日本光電、ICnetの皆さまには、事前準備から現地での運営に至るまで、全ての段階でご尽力いただき、心より感謝申し上げます。新生児蘇生の知識や経験だけでなく、現地での課題解決に向けた具体的なアプローチを学ぶ機会をいただけたことは、非常に有意義でした
NCPRやJMELSなどのシミュレーションコースに関わり始めて約8年が経ちます。当初は地元・宮城での参加者でしたが、次第に運営や他地域への参加を経て、現在ではコースの中核にも携わっています。この過程で広がったのは「人との縁」です。
少しの勇気で異なる分野の方々と関わることで、自身の視野や可能性が大きく広がります。その入り口として、シミュレーションコースは非常に有用だと感じます。次世代の担い手として興味のある方がいれば、ぜひご連絡ください。一緒に全国、そして世界へ進んでいきましょう!
開催期間:2024年5月16日~20日
立花 眞仁
5月17日から20日に韓国の釜山のBEXCOで開催されたアジア・オセアニア産婦人科学会(AOFOG)2024に参加してきました。2022年からAOFOGのREI(Reproductive endocrinology & infertility) Committee memberを拝命しているため、今回はREI committee企画として、17日金曜の朝にワークショップ、19日午後にはシンポジウムと2回の発表の機会がありました。海外の学会はディスカッションが盛んなので、毎回普段からの英会話トレーニングの重要性を感じさせられるのですが、相変わらず帰国しても行動には移せていません。Committee memberとは、これまではZoomミーティングやメール審議のみで、対面で合うのは始めてだったのですが、皆フレンドリーでとても良い繋がりができました。AOFOGは、思った以上に日本から参加されている先生も多く、現地では、当学から参加の工藤先生(YGAの1st Prizeを受賞されました。おめでとうございます)、東北医科薬科大学へ栄転された徳永先生、東北の生殖を生業としている先生とも毎晩一緒に韓国グルメを堪能し、またまた体重増加というお土産を持って帰国となりました。写真にあるエビは独島(竹島)エビという韓国では高級なエビのようで、皆で頼んでみました。某教授先生が“竹島エビだろ!”と連呼していて、密かに身の危険を感じていました。



開催期間:2024年5月16日~20日
工藤 敬

2024/5/16~20で釜山で開催されたAOFOG (Asia & Oceania Federation of Obstetrics & Gynaecology) 2024に参加して参りました。
これまで接する機会が乏しかったアジア・オセアニアの産婦人科医療における現状を様々な観点から知ることができ、多くのことを勉強させていただきました。
日本での日常診療で「当たり前」に行っていることが、風習・文化・宗教・技術・予算・人員など様々な点で異なる発展途上国の産婦人科医療においては「当たり前ではない」ことを実感致しました。
また、Young Gynecologist Award(YGA)としてアメリカ留学で研究してきたことを発表する機会をいただきました。私に割り振られた時間は18分。人生最長の口演を英語で行うということであり、辛い準備期間ではありながらも、非常に刺激的で生涯の記憶に残るかけがえのない体験となりました。さらに、発表内容を評価していただき、大変光栄なことにYGAの中でも1st Awardを受賞(賞金は現在のレートで約50万円!!)させていただきました。
今回の学会参加で学んだ多くのことを、今後の実臨床や研究に活かしていけるように努めて参ります。今後ともご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い致します。



開催期間:2024年4月7日~11日
宮原 周子
2024年4月7-11日にサンディエゴで開催された、2024 AACR annual meeting(米国癌学会年次総会)に参加しました。AACRは婦人科癌だけではなく全ての癌腫を対象とした学会で、世界中の癌研究者が集まります。その内容は基礎研究からPhase3の治験までにおよび、癌研究の全てを網羅すると言っても過言ではなく、演題数は6000題をこえるようです。基礎研究が成功し治験が始まるまでは少なくとも10年かかると言われていますが、その繋がりを身をもって体感するような学会で、昨年初めて聴講目的に参加した際には目から鱗が落ちるような感覚でした。今年は大学院での研究内容で、初の国際学会発表にも挑戦しました。
会期中は、メインとなるプレナリーセッションを主に聴講しました。内容そのものもとても興味深いものでしたが、コンサート会場のような派手な演出で登壇者も輝いており、米国らしさ(?)も、感じられました。
さて、自身のポスター発表は、ニッチな内容かつマイナーなセッション内に収められたのでお客さんが来てくれるのか不安でしたが、13時半から17時までの耐久戦の中、多くの方にポスターを見ていただき、質問を受けました。なにせ英語が不得意で、質問の内容が分からないことも多かったのですが、「申し訳ないけど英語が苦手なのでゆっくり話してください、、」とお願いすると、みなさん快く噛み砕いて話していただけましたし、やはり臆さず会話することが再重要だと認識しました。とはいえ、隣の中国の発表者の方をはじめ、学会に来ている他国の方は皆さん英語ペラペラでしたので、語学に勤しみたいと思います。


毎日学会会場に足を運んでいましたが、合間の時間でを用い、サンディエゴの爽やかな気候の中、コンベンションセンターの目の前にある海沿いの道をランニングしたり、ダルビッシュ選手が当番するペドコパーク周辺を散策したほか、最終日にはトップガン再ブームで話題となったミッドウェー博物館(期待をこえる充実の内容!)を見学したりと、滞在を満喫しました。
サンディエゴは海沿いで、メキシコにも近いため、所謂アメリカの肉だけでなく、シーフードやメキシコ料理がおいしいのも特徴で、食事も楽しめました。
このような機会を与えていただきました、東北大学産婦人科に感謝いたします。
これからも臨床・研究に邁進し、是非ともまた国際学会に参加したいと思います。
※年度をクリックすると情報が表示されます
留学期間:2026年7月1日~7月12日
齊藤 裕也
2026年7月、本年度も西オーストラリア大学との共同研究に参加させていただきました。齋藤昌利教授を筆頭とするヒツジ研究室は西オーストラリア大学との共同研究を行っており、毎年この時期はオーストラリアのラボで研究を行っています。産科医・新生児科医からなるメンバー全員が研究のためだけに集中し衣食住を共にし、まさに周産期研究合宿といった生活をおくります。
今期は10日間という限られた時間の中でしたが、私は人工胎盤の手術とその後の評価を中心に担当させていただきました。メンバー内の誰がやっても安定した手術が行えること、安定した管理に繋げられるようにすることが我々産科メンバーの課題の一つでしたが、幸いにも実験系はすべて目標を達成することができ安堵した半面さらなる課題も感じ、また次につなげていかなければならないなと思いを改められました。
実際の母体内ではリアルタイムな胎児の情報は限られてしまいますが、人工胎盤実研究ではそれを可視化でき、尚且つ考えながら状態のチェックを行うことができます。臨床で当然と言われていることは真実なのか、エコー所見の変化は何を意味しているのか。実験を通してそういったクリニカルクエスチョンと向き合い、日々メンバーと議論を交わし、様々なインスピレーションを得ることができました。これは我々ヒツジ実験室の特権といえるものだと感じます。胎児生理学はまだまだブラックボックスばかりの分野ですので、今後も研究を通じた新たな発見を楽しみに頑張っていきたいと思います。

留学期間:2026年6月27日~7月4日
鶴田 光将
私は齋藤昌利教授のご指導のもと、2026年6月27日から7月4日まで、西オーストラリア大学での羊を用いた動物実験に参加させていただきました。
期間中は、人工胎盤手術を4件見学させていただいたほか、管理中の胎児の超音波検査を実際に施行させていただき、臨床・研究の両面において大変勉強になる貴重な経験となりました。また、実験のない時間には、同行させていただいた先輩方と研究へ取り組む姿勢などについてお話を伺う機会もあり、私自身の研究へのモチベーションが非常に高まりました。
また、英語でのコミュニケーションが苦手ではありましたが、現地の研究スタッフにも優しく接していただき、初めての渡豪でしたが、楽しく過ごすことができました。
最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださった齋藤教授をはじめ、現地のスタッフの皆様、そして日本から同行し温かくご指導くださった先輩方に心より感謝申し上げます。今回の留学で得られた知見と刺激を糧に、今後の研究活動や臨床に一層励んでまいりたいと思います。


留学期間:2025年6月30日~7月8日
髙橋 司

今年もオーストラリア・Perthでの実験シーズンがやってきました。私は2019年から2023年までPerthに留学しておりましたが、昨年は学位授与のために渡豪したものの、実験には参加できませんでした。今年は約10日間、久しぶりに実験に参加する機会を得ることができました。
Perthでの実験シーズンは、羊の妊娠周期に合わせて毎年オーストラリアの冬(日本の夏)に約2カ月弱の期間で集中的に行われます。大型動物を用いた実験であるため、実施には多くの人手を要します。今回も各地から多様なメンバーが集まり、周産期チームとして一体感を持って取り組むことができました。
久しぶりのJ-Team Houseでの共同生活も印象的でした。各自1〜3週間程度の滞在で、朝が強い人・弱い人、お酒が強い人・弱い人、生活スタイルも様々。普段は臨床の場でしか接することのない新生児科の先生方とも、実験後の食事やワインを通して様々な話ができ、チームとしてのつながりを改めて実感しました。
今年の実験は、経口投与および腟内投与に関するもので、自分が留学中には経験のなかった新しいプロトコールでした。実験の醍醐味はその過程にもありますが、やはり結果を見る瞬間は特別です。今回は短期間での参加のためそこまで至りませんでしたが、将来論文として世に出る日を楽しみにしています。
慣れ親しんだ土地も、時の流れとともに変化し、新しい建物が立ち、人が入れ替わり、実験内容も進化しています。臨床に戻っても、研究のスピードに置いていかれないよう、引き続きアンテナを張っていきたいと感じた10日間でした。また、日本に戻ってからどのような研究を展開していくか、思考を整理する良い機会にもなりました。
最後に、この期間中、臨床業務を代行してくださった先生方には大変ご迷惑をおかけしました。このような貴重な機会をいただき、送り出してくださった先生方に深く感謝申し上げます



留学期間:2025年7月3日~7月10日
餅井 規吉
私は齋藤昌利教授の指導のもと、2025年7月3日から10日までの8日間、西オーストラリア大学で羊を用いた動物実験に参加しました。胎仔エコーや胎仔解剖などの実験操作を行い、日本での自分の実験経験を活かすことができました。慣れない環境の中でしたが、現地スタッフや東北大学から同行した仲間に支えられながら、楽しく学ぶことができました。
夜は食事を共にしながら、実績ある研究者から研究の進め方や論文作成のポイントなど、貴重な話を伺う機会もありました。多くの方々の支えのおかげで無事に今回の短期留学を終えることができ、研究技術だけでなく、研究に取り組む姿勢や考え方も学ぶことができました。今回得られた経験を今後の自分の研究活動や臨床に活かしていきたいと考えています。


留学期間:2025年6月22日~7月4日
齊藤 裕也

2025年6月~7月にかけて、2週間という限られた期間ではありましたがオーストラリアでの共同研究に参加させていただきました。齋藤昌利教授を筆頭とする我々の研究チームは、現在では日本、オーストラリア、シンガポールの3箇所を拠点とし日夜研究活動に励んでおります。私自身も齋藤教授のご指導のもと、人工胎盤を用いた胎児治療をテーマにした研究で昨年度学位をいただきました。シープシーズンと呼んでいるこの期間は日本の夏(オーストラリアの冬)に毎年集中して実験を行っている期間です。私自身は宮城県立こども病院に出向中ですので、今年度は私の出番はないであろうと油断していたところ、教授から直々にお声がけいただきました。研究活動はもちろんのこと、日本の現状を文字通り外から見ることができる貴重な機会で、このようなチャンスに恵まれているのも東北大学産婦人科のメリットの一つと感じています。
今回の私がメインに関わらせていただいた内容は、妊娠ヒツジへの低用量ステロイド投与に関したものでしたので、オーストラリアの産科医であるDr. Seanと共に母獣・胎仔への手術を行い、連日の血液検査などを行いました。手術侵襲は実験結果に直接影響するため緊張するものですが、幸いにも成功率が非常に高く、全例を終えた瞬間、Dr. Seanと胸を撫でおろしたのも非常に良い経験でした。渡豪中は日本チームでシェアハウスを行い、いわば合宿のような共同生活をしています。朝からの実験を終えて疲れ切ったなか、みんなで試行錯誤しながら大きなステーキを焼いたりと、食事をつくるのもまた楽しい時間です。オーストラリアチームと共に飲みに出かけることもしばしばあり、もっと英語が上手に話せたらな、とは思いますがお酒が入ればそんなことは忘れます。国籍や身分を超えて、他愛もない話で盛り上がれるのも、このコラボレーションチームの良さだと新ためて感じました。
今回は実験期間中に帰国しなければならなかったのがとても心残りで、名残惜しいと感じるほど有意義な時間を過ごさせていただきました。皆様への感謝を感じつつ、多くの後輩たちにも同じように有意義な経験をしてほしいなと感じています。是非みんなで日本チームを盛り上げていきましょう!
留学期間:2021年3月~2024年2月
工藤 敬

2021年3月から約3年間、Post-docとして米国メリーランド州のNational Institute of Health(通称NIH)に留学させて頂きました。このような機会を頂戴しましたので、感謝の念を込めつつ留学生活で印象深かったことをご報告させて頂きます。
まずは渡米そのものに対して。今となっては忘れそうになりますが、渡米した時期はCOVID-19パンデミック真っ只中であり、大統領選挙や黒人デモもあってアメリカ情勢は非常に不安定な時期でした。親戚や友人からは「本当にこの時期にアメリカに行くのか?」と心配されたものです。何とか無事渡米し2週間の隔離生活を経てNIH勤務が始まりましたが、当時はマスク着用と手指消毒は当たり前、ミーティングは全てオンライン(しかもマスク越しなのでただでさえ苦手な英語が更に聞き取り辛い)、ラボメンバーとの接触を避けるため出勤時間をできるだけ被らないようにする、など直接的コミュニケーションはかなり希薄であり、なかなか厳しめかつ苦めな留学のスタートとなりました。

NIHのことを簡単に説明させて頂きますと、1887年に設立されたアメリカで最古の研究機関であり、Wikipedia上では300エーカー(東京ドーム26個分)の敷地に75棟以上の建物を有する巨大な研究施設です。あまりに敷地が広く、離れたラボとコラボする時は移動だけで一苦労です。周囲にはNatureやCellのような超有名雑誌に研究が載るような研究者がゴロゴロおり、非常に刺激的な環境でした。NIHから首都ワシントンD.C.までは車で30分程であり、COVID-19が落ち着いた後はスミソニアン博物館やワシントン記念塔、国会議事堂など様々な観光スポットを楽しめました。春になるとD.C.ではSAKURA MATSURIが大々的に開催され、日本文化がアメリカでも愛されていることを感じ誇らしくなったものです。
ボスであるChristina M. Annunziata(通称Tina)は臨床医としてもNIHで勤務しており、基礎研究でいいデータが得られたらそれを臨床試験へ反映させるという、いわゆるtranslational researchに取り組んでいます。ラボメンバーはPost-docやPost-bacc、Staff scientistなど併せて7-9人ほどであり「難治性である再発卵巣がんの新規治療を開拓する」という命題のもと、各々が試行錯誤しながらプロジェクトを進めています。私は「腹腔内の卵巣がん腫瘍塊を模した3Dがん幹細胞(いわゆるスフェロイド)の特異的代謝」に着目しており、様々な観点から3Dがん幹細胞が有する治療抵抗性のメカニズム解明に取り組みました。研究を纏めるにあたりMetabolomicsやFlow cytometry、RNA-sequencingなどより専門的な分野にも関わることができ大変勉強になりました。COVID-19パンデミックが落ち着くにつれて、in personミーティングや他ラボとのコラボもどんどん増え始め、「いよいよ留学らしくなってきたな」と嬉しく感じたものです。非常に稀少な最新デバイスや解析手法に携わることができる、というのも確かに留学の目的の1つだとは思いますが、個人的には国家や宗教・民族など含めた多種多様な考え方を持つ海外研究者と、拙い英語ながらもコミュニケーションをとりディスカッションしたことが、留学で得られた最も刺激的で忘れ難い経験だと確信しています。
また、当直やオンコール呼び出しもなく、ゆっくりと家族との時間を過ごせたことも留学ならではのメリットだと思います。日本の25倍の国土面積を持つアメリカで始めた家族の趣味はキャンプ。テントを立てたこともない、火を熾したこともない初心者家族でしたが、最終的にはグラントキャニオンやイエローストーン、ロッキーマウンテン国立公園で、その広大な大地、美しい手つかずの自然を眺めながらキャンプを楽しんで参りました。留学前はアメリカの観光にさほど興味を持ってませんでしたが、今となってはそのような自然に触れることができたのもアメリカ留学の醍醐味の1つと感じております。
留学前に宮城県立がんセンターの山田秀和総長先生から戴いたお言葉があります。「留学は学問的な成果が挙げられれば勿論最高ですが、後から振り返ると学問より経験です。留学はアメリカを経験するだけで十分です。研究成果は色褪せますが、経験はいつまでも鮮明に残ります。」このお言葉はアメリカ生活を全力で楽しむ上でとても支えになりました。帰国後は、私がこの言葉を後輩に伝えられるような人間になるべく邁進していく所存です。まずは、鈍りに鈍った臨床の勘を取り戻すのに全力を尽くして参ります。最後になりましたが、留学生活をご支援ご指導頂いた全ての方々に心より御礼申し上げます。


留学期間:2023年7月26日~8月3日
餅井 規吉
私は齋藤昌利教授の指導のもと、7月26日から8月3日までの9日間の予定で、西オーストラリア大学での羊研究のお手伝いや見学をさせていただきました。
内容としては人工胎盤の手術、胎仔エコー、羊水穿刺などを見学させていただきました。研究のお手伝いとしては羊の運搬や羊水穿刺、胎仔エコーをさせていただきました。医学研究、動物実験に実際に参加し貴重な体験を通し、今秋から始まる自分の研究へのモチベーション向上にもなりました。
また、初めて行うことが多く慣れない環境の中、現地のスタッフや東北大学から一緒に手伝いに来た仲間に優しく教えてもらいながら楽しく研究に参加することができました。また、研究者の方と話す機会があり、研究に対する姿勢、研究の進め方や考え方、どのように論文にするかなどを具体例を交えて分かりやすく教えていただきました。
最後に私事ではありますが、オーストラリアからの帰国の際にCOVID19 PCRが陽性となり予定通りの帰国ができませんでした。しかし、多くの方に支援していただき、無事に帰国することができました。このように多くの支えがあり今回の短期留学を成し遂げることができました。今回の留学経験を活かし、今後の自分の研究や臨床に励みたいです。