国際学会参加報告/留学
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開催期間:2018年3月6日~10月
熊谷 祐作

3月6日から3月11日までカリフォルニア州サンディエゴで開かれましたSRI(Society for Reproductive Investigation)という学会に参加し、ポスター発表を経験させていただきました。
私の発表は、「Post-surgical maintenance of cardiac function in an ex vivo premature lamb model」と題して、人工胎盤に繋いだ胎仔の術後評価として胎仔循環評価を超音波にて行い、後負荷・後負荷上昇の原因と改善点について考察したものでした。私は大学院生として応募したため、2人の採点官にプレゼンテーションをする機会がありました。しかし、その採点官から研究内容に関する質問をしてもらえず、今回の発表に興味を持ってもらえたかについては実感を得られませんでした。採点官以外の方からは、プレゼンを求められる機会がそれなりにあり、また質問して下さる方々に恵まれ、研究の面白さを共有できた感がありましたが、興味を持ってもらえるようなプレゼンテーションを英語で行う難しさを強く実感しました。また、私が学生時代に病院実習でお世話になった宮崎大の先生方、宮崎大からロサンゼルスに留学し羊の低酸素実験をしている先生、慶応大で臨床研究している先生方と研究結果を共有し、交流をすることができました。
興味深かった演題を3つ掲載させていただきます。
・Multi-Parametric MRI in Early Pregnancy as a Possible Predictor of Ischemic Placental Disease.
UCLAからの発表です。妊娠高血圧腎症と胎児発育不全は、近年どちらも妊娠初期の胎盤形成不全に基づくplacental ischemic diseaseという概念でその病態を説明しようとしていますが、これをfunctional-MRIで胎盤血流を測定した研究です。結果によると、妊娠15-17週に最も顕著に胎盤血流(の中でもhigh placental blood flow (hPBF)率)が低下したため、15−17週にMRIを撮像すれば良いと示唆していました。当科の放射線診断科でもこのようなMRI撮像が今後できれば大変有意義だと感じました。
・IL-1 Receptor Antagonist Improves Trophoblast Invasion, Endothelial Development and ZIKV Sequelae in Offspring.
john Hopkins大学の発表です。他にもジカウイルスに関する発表はoral、poster共にたくさんありました。これはマウスを使った動物実験ですが、感染マウスではTrophoblast invasionやvimentin発現が低下し、神経行動学的テスト結果も悪化しますが,IL-1receptor antagonistを投与するとそれらが改善するため治療的効果を認めたというものです。
・Oral Steroids for Maturation of the Preterm Lung: Pharmacokinetic and Efficacy Data from a Sheep Model of Pregnancy.
私が所属する研究室と共同研究をしているにしオーストラリア大学のマット先生の発表ですが、母体への経口ステロイド投与で胎児の肺成熟を促進するという内容です。これが臨床で応用されれば、母体にリンデロンの筋注をせずに内服で済ますことができるため、投与の簡便さ、経済的にも大変理にかなっている研究発表でした。私もパースで手術手伝いやお母さん羊の口腔内投与を手伝わせていただいた実験の研究結果です。
夕方からはサンディエゴの飲食店へ繰り出し、クラフトビールやハンバーガー、Napaのワイン、イタリア料理、シュラスコを含むブラジル料理、スペイン料理、日本の居酒屋など楽しみました。日本居酒屋のお造りを含め、全て大変美味しかったです。同じ研究室でオーストラリアへ留学中の臼田先生にはたくさんご馳走になりました。
このような昼夜ともに素晴らしい経験をすることができ、今後の臨床、研究にも俄然意欲が湧く、初めての国際学会参加となりました。八重樫先生、研究室の上司で医局長の齋藤先生をはじめ、産婦人科教室の諸先生方に御礼を申し上げたいと思います。
開催期間:2018年3月6日~10月
上原 知子

3/6~10の5日間、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンディエゴで開催されたSRI 65th Annual Scientific Meetingに参加させていただきました。サンディエゴはアメリカ人が選ぶ住みたい街No1ともいわれ、1年を通じ温暖な気候と多様な自然に恵まれ、人気の観光スポットも多く、治安の良いとても魅力的な街でした。
東北大学からは私の他に湊 敬廣先生、渋谷 祐介先生、和形 麻衣子先生、富田 芙弥先生、熊谷 祐作先生が参加しました。富田先生はご家族で参加されるとの事で、私も夫と息子と一緒に参加させていただきました。
学会の合間には観光もでき、中でも富田先生とご一緒したアンザボレゴ砂漠は想像以上の絶景でとても感動しました。学会会場の近くにはダウンタウンがあって雰囲気の良いレストランやバーが軒を連ねており、英語でドキドキしながら注文した料理はどれもすごく美味しかったです。3歳の息子は初海外で陽気な雰囲気にテンションが上がり、街中で音楽にのって踊りだしたりと満喫していました。
私は大学院生ではなく、国際学会なんて縁が無いものと思っていましたが、齋藤昌利先生にご指導頂き、思いがけず発表の機会を頂きました。これまで発表してきた一例報告とは違い、今回は手術手技の有用性を示すために、200症例以上を抽出しデータ集めからその統計処理、結果の示し方など、初めての事ばかりでした。さらにそれを英語にしてポスターを作る作業は骨の折れるものでしたが、その過程でも多くのことを学ぶことができました。
学会では世界各国から様々な分野での発表があり、世界で研究されている最新の知見を得ることができ、とても興味深く、視野が広がりました。臨床分野では肥満の妊娠への影響に関する発表が多い印象を受け、世界的な問題なのだと感じました。私は英語が苦手で、聞くのも話すのも読むのも儘ならずとても悔しい思いをしましたが、一緒に参加した先生方は英語でのプレゼンテーションやディスカッションを堂々とこなし、他の参加者の発表にも積極的に質問をされており目標にしたいと思いました。


国際学会へ参加させていただいたことは大きな経験になり、また英語の重要性と自分の勉強不足を改めて実感しました。今後はもっと研鑽を積み、是非また参加して先輩方のように発表やディスカッションを通して、より多くのことを得られるようになりたいと思います。
最後に、今回学会への参加・発表の機会を与えて下さり、ご指導してくださった八重樫教授、齋藤昌利先生、薬剤部の小原拓先生をはじめ、医局の先生方に感謝申し上げます。

開催期間:2018年3月6日~10月
湊 敬廣

2018年3月6日から9日までの4日間の日程でアメリカのサンディエゴで開催された65th SRI (Society for Reproductive Investigation) Annual meetingに参加させていただきました。サンディエゴはカリフォルニア州の南端、メキシコとの国境付近に位置しています。人口が140万人と同州の中でロサンゼルスに次ぐ大きな都市であり、年間晴天日数が300日以上という陽気で温暖な気候から、アメリカ人がリタイアしたら住みたい街の2位にランクインされているみたいです。メキシコとの国境に近接しており、メキシコからの移民も多いためにサンディエゴはタコスが大変美味しいのが有名で、街の至るところにタコスを食べさせてくれるお店があります。またアメリカ海軍の基地としても有名で、少し前の映画ですがトム・クルーズ主演の『トップガン』の舞台になった街でもあり、ミッドウェイという退役した空母が博物館として一般に公開されており、私もルームメイトの渋谷先生と一緒に見学に行きました。全部の施設を見学するのに3時間ほどかかり、そのスケールの大きさに圧倒されてしまいました。
学会の会場はサンディエゴ港に面したHilton San Diego Bayfront Hotelで開催されました。当教室からは渋谷先生、富田先生、上原先生、熊谷先生、和形先生、湊とトロントで留学中の濱田先生の7人で参加しました。学会1日目はSatellite sessionが行われ、各分野のエキスパートが各々の研究についての最新の知見を発表していました。2日目以降は参加者のOralとPosterによる発表が行われました。私は3日目Poster発表で自分の研究テーマである”FGR胎仔における自律神経機能と分娩時脳出血の発症との関連”について発表しました。In-Trainingというカテゴリーでエントリーしており、これはいわゆる学会参加費の学割みたいなもので安くなるのですがその代わりに評価者2人の前でプレゼンおよび質疑応答が義務付けられます。質問は結構鋭い内容でたじたじとなる場面もありましたが、私のつたない英語での応答をしっかりと最後まで聞いてくれて、理解しようとしてくれる姿勢は大変有り難いものでした。また他のセッションでは、満期産の分娩開始の機序にも早産と同様に炎症が関連しており、子宮筋層内の抗炎症作用を持つ遺伝子発現の低下や胎盤内のT細胞などの免疫細胞数の減少が関連しているという発表や、米国での新生児脳障害に対する臍帯血幹細胞移植の臨床研究の結果についての発表など大変興味深い発表が多く勉強になりました。SRIは生殖内分泌関連や産科関連の演題がメインとなる学会ですが、若手の研究者を育成する事にも力を入れており、プログラムの中にも”Connection corners”という若手研究者が集いキャリアデザインや研究費取得や交渉についてのノウハウなど具体的なアドバイスをベテランの研究者に聞けるプログラムが用意されていました。



夜にはサンディエゴのもう1つの名物でもある地ビールを飲みながら、今回参加したメンバーと共に親睦を深めました。濱田先生のカナダでの留学生活の近況や苦労話などが聞けてとても充実した時間となりました。4日間の日程で参加した学会ですが、知的好奇心を刺激され大変充実した学会となりました。英語で意思疎通に関しては上達しなければと痛感させられました。日頃より英語に触れる機会を増やして少しでも上達していきたいと思います。
最後になりましたが、今回学会参加の機会を与えて頂いた八重樫教授をはじめ、諸先生方にお礼を申し上げたいと思います。

開催期間:2018年3月6日~10月
富田 芙弥

3月6日から10日まで、San DiegoのHilton San Diego Bayfrontで行われたSRI 65thAnnual Scientific Meetingに出席してきました。San Diegoはアメリカ西海岸のメキシコに接する都市で、温暖な気候と美しい海が特徴の街です。成田→San Diegoの直行便が就航しており、10時間ほどのフライトで行くことができます。実は学生時代にSan Diegoで行われた学会でポスター発表をしたことがあり、今回は12年ぶりの訪問でした。12年前はぜひまたもう一度来たいと思って帰りましたので、今回は願いが叶って感激でした。
初日の3月7日はSatellite symposiumで、各分野のspecialistが30分ずつ講演しました。私はPreterm Birth International Collaborative (PREBIC) とのJoint Satellite Symposiumに参加しました。内容はPreterm Birthの分子生物学的メカニズムが主でした。どの講演もとても興味深く、最新の知見もたくさん知ることができて非常に良かったです。
3月7日の夜はトロントに留学されている濱田先生、オーストラリアに留学されている新生児科の臼田先生も交えて懇親会を行い、色々な話を聞くことができました。懇親会はSan Diego名物のクラフトビールballast pointのお店で行我、皆でたくさんビールを飲みました。
3月8日-10日はoral sessionとposter sessionが中心でした。Oral presentationは大学院生やPost doctoral fellowが主に発表していたようでしたが、一人10分と持ち時間が長く、研究の意義・背景から今後の展望まで丁寧に説明された発表が多い印象でした。一人で複数の発表をしている方も多く、研究者の熱意を感じて刺激になりました。Poster sessionはClinicalな内容から基礎的な内容まで幅広く、多くの分野の研究者が発表していました。少しPosterを横切るだけで、”Are you a doctor in this field?” “May I explain?”などとたくさん話しかけられ、おかげでたくさんのposter発表を見ることができました。自分の発表もJudgeも含めて色々な方に聞いていただいたり、質問を受けたりすることができました。しかし、英語力不足から聞き返してしまったり、聞きたいことが十分に聞けなかったりしたので、英語力をつける必要性を感じました。
素晴らしい研究の数々に触れることができ、これから研究をするにあたってのモチベーションが非常に高くなりました。貴重な機会を作っていただいた八重樫先生、齋藤昌利先生をはじめとする医局の先生方に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
