東北大学大学院医学系研究科 
周産期医学分野/婦人科学分野

Department of Obstetrics and Gynecology

国際学会参加報告/留学

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国際学会報告 2017年

33rd ANNUAL MEETING European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE) 参加報告(スイス/ジュネーブ)

開催期間:2017年7月1日~7日

久野 貴司

2017年7月1日から7日の日程でスイス、ジュネーブにて開催された33rd ANNUAL MEETING European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)に参加してきました。

ジュネーブまでの道のりは険しく長いものでした。

まずは仙台駅から仙台空港までのアクセス線が停電のため運休していました。運行再開の見通しは約30後。間に合わないと判断してタクシー乗り場に行くも早くも行列が。ハラハラしながら仙台空港へ到着。何とか間に合い、成田を経由してパリに向かいました。パリまでは約11時間。固まった体でゲートへ向かうとそこにも行列。原因は不明ですが入口が閉鎖されており、再開通の目途も立たないとのこと。

ひとまずフランスに入国し、そこから発着ゲートへ。発着ゲートまでの道のりは人が多すぎて列すら作れないような状況で、まさに大混乱でした。その影響でジュネーブに向かう予定便はキャンセル。空港で一夜を明かしました。ちなみに「ターミナル」「パリ空港の人々」のモデルになった人物はこのシャルルドゴール空港で15年以上も生活していたそうです。結局翌日にバスでジュネーブへ向かい、24時間遅れで到着しました。そのためpre-congress courseには参加できず、非常に残念でした。

学会にはヨーロッパだけでなく、アジア、アメリカ、エジプトなどたくさんの国と地域から参加していました。生殖医療の学会のため、産婦人科医だけでなく看護師、胚培養士、基礎研究者など様々な人が参加しておりました。

学会の内容は僕が聞いていた範囲では臨床内容のRCTを示したものが多いように感じました。やはり普段行っている臨床もエビデンスを意識してやっていかなければならないと再認識しました。他にも基礎医学的な内容から最先端医療の話題から社会問題など多岐にわたるテーマが扱われていました。学会では事前にスマートフォンやタブレット用のアプリが配信されており、アプリで学会のスケジュールや発表内容のアブストラクトなどを見ることができ非常に便利でした。いずれは「この口演を聞いた人はこのポスターも見ています」のような「オススメ」が表示されたりするのでしょうか。

自分のポスター発表はe-poster方式でした。20台ほどの巨大液晶パネルとそれぞれの前にタブレットがおいてあり、タブレットを操作すると巨大液晶パネルにポスターが表示されます。タブレットにはポスターのサムネイルが表示される形式であり、パッと見て目を引くようなポスターを詳しく見る、というようなことができました。まるでポスター会場をうろうろしているような気分になりましたが、ディスカッションなどはなく、少し寂しいと思いました。ただし、ポスターでも優秀演題に選ばれればプレゼンとディスカッションの時間が与えられるため、今度はそのような演題を出せるようにがんばろうと思いました。

学会中には日本から参加されている他大学の先生方と食事をご一緒させていただきました。普段お話しできない先生方からお話を伺い、とても勉強になり、よい刺激となりました。

最後に、学会参加の機会を与えていただいた八重樫教授、学会参加にお誘いいただいた立花先生、医局の諸先生方に御礼申し上げます。ありがとうございました。

25th Asian & Oceanic Congress of Obstetrics and Gynecology(AOCOG)参加報告(中国/香港)

開催期間:2017年7月1日~7日

高橋 聡太

2017年6月15日から18日の4日間の日程で、香港にて開催された25th Asian & Oceanic Congress of Obstetrics and Gynecology(AOCOG)に参加してまいりました。仙台から香港はおよそ10時間の旅程。現地はとても蒸し暑く、不快指数高め。人口密度、車の密度ともに高く、常にクラクションが鳴り止まない、沸騰するアジアを象徴するような街でした。

学会はHong Kong convention and exhibition centre (香港會議展覽中心)。香港島、湾仔地域沿岸に位置したくさんの催し物が絶えず開かれている場所でした。

学会には中国から東南アジア、中央アジア、オセアニアにかけてたくさんの国と地域から産婦人科医や助産師が参加者しておりました。

学会の内容はかなり多岐にわたりました。Plenary speakerの一人、Prof. Mats Brännström(スウェーデン、Gothenburg univ)が子宮移植に関する最新の臨床データの報告をしたかと思えば、同じくPlenary speakerの一人、インドBhailal Amin General Hospital のDr Robit Bhattはアジア諸国におけるDomestic violenceの現状を報告するなど、最先端医療の話題から、アジア全体の産科および女性医学に関する社会的問題も議論されており、扱うテーマとしてはかなり広い学会でありました。心配した不得手の英語の方ですが、全体的にゆっくりと喋ってくれていたり、やや文字が多め(ほとんど原稿?)のスライドを提示してくれていたりして、幸い自分でも凡そ内容は理解できました。

学会全体のスケジュールは割りとゆったりとしていて、大体2時間くらいのスケジュールが終わると、必ずtea breakをはさみます。このあたりは英国流なのでしょうか?ただコーヒーや紅茶の茶請けとして、現地で流行しているというクッキーの他に春巻などの揚げ物もあるのは香港流?会場の雰囲気も穏やかで、「日本から持ってきた第70回日産婦のポスターを貼ってもいいか?」と会場係の人(?)に尋ねると、好きにしなと言わんばかりに掲示物用の大量の両面テープを渡してくれました。ここに、今回の学会における最大のミッションが達成されました。

自分のポスター発表はというと、今回はelectrical poster (e-poster)といって、タッチパネル式電子掲示板で、見たい演題を検索し、選択すると内容が表示されるという方式でした。しかし200題以上あるポスター演題に対して、電子掲示板はなんとわずか6台。一応フリーディスカッションという建前ではありましたが、わざわざ検索し、選択しないとポスターが出てこないため、プレゼンやディスカッションも、優秀演題に選ばれた人でないと、なかなかさせてもらえない状況で、少しばかり肩透かしにあった感じでした。今度はちゃんと喋らせて貰えるような演題を出そう、と大いに思いました。

日産婦でせっかく英語のポスターを作ったので、「どれ一つ海外学会にも出してみる」か、と軽い気持ちで参加してみた初の国際学会。アジアに住む一産婦人科医として、今までより少し広い視野を得るよい機会になりました。

最後になりましたが、学会参加の機会を与えていただいた八重樫教授をはじめ、産婦人科教室の諸先生方に御礼を申し上げたいと思います。

9th International Ceramide Conference 参加報告(ニューヨーク州/ポートジェファーソン)

開催期間:2017年5月1日~4日

張 雪薇

今回、私は2017年5月1-4日にかけて米国ニューヨーク州ポートジェファーソンで開催されたInternational Ceramide Conference に参加させていただきました。この学会はスフィンゴ脂質セラミドを中心とする国際学会であり、今年参加者数は約150人であり、今回で9回目の開催となります。

この学会では、単にスフィンゴ脂質代謝・調節だけでなく、スフィンゴ脂質セラミドを用いたがん治療の可能性など、研究室にいるだけでは学べない、幅広い分野の発表を見ることができました。日本の学会と比較すると、Oral, Posterとも活発な討論が行われている印象を受け、世界各国の研究者の興味深い発表を聞くことができました。

今回私は一般演題の口頭発表として、“Potential of ceramide nanoliposomes as necroptosis-inducing chemotherapeutic reagents in ovarian cancer”(卵巣がんにおけるセラミドナノリポソーム製剤のネクロプトーシスを誘導する化学療法剤としての可能性)のタイトルで講演をさせていただきました。私にとって初めての国際学会発表であり、さらに英語を使ってやりとりしなければならないということでとても緊張しました。自身の語学能力をもっと磨き、より有意義な学会発表や円滑に外国の方と交流できるようになりたいと改めて感じることができました。また、日本人と話し合うことだけでは思いつかなかった疑問やアイデアを得られた為、自分の研究活動に対して新たな着眼点を見つけることができました。さらに、最近のトピックスである"The roles, functions and therapeutic implications of sphingolipids in acute myelogenous leukemia"(急性骨髄性白血病におけるスフィンゴ脂質の役割、機能および治療上の意義)など、世界の第一人者による数々の講演を拝聴し、今後の研究に大いに役立つ知見を得ることができました。ほかにも、ポスターセッションでは若手や中堅の研究者によって最新の研究データが発表され、熱い討論が行われました。

学会最終日の夜には、参加者全員は笑顔で夕食ダンスパーティーを開きました。皆さんの踊っている姿に感動し、周りの沸き立つ雰囲気に夢中になった私は、「これこそがアメリカの魅力だ」と思い、大変楽しい時間を過ごすことが出来ました。

総じて言えば、本学会への参加により、盛大なレセプション、会場での活気ある雰囲気、発表時の英語でのディスカッション等、国際学会でしか味わえない数多くの貴重な経験を積むことができ、私の価値観を大きく広げることに繋がりました。また、世界各国の最新の知見を得ることや、私自身の研究内容に対する助言を頂くこともでき、今後の研究生活の糧となりました。

64th SRI(Society for Reproductive Investigation)Annual Scientific Meeting 参加報告(フロリダ州/オーランド)

開催期間:2017年3月15日~18日

橋本 千明

3月15日から18日までの4日間、64th SRI(Society for Reproductive Investigation)Annual Scientific Meetingに参加させていただきました。

今年はアメリカのオーランドで開催されました。15日からの学会のために、日本を3月14日に出発する予定でしたが、当日午前3時に「経由地であるワシントンD.C‐オーランド便が運休」とのメールが…予定通り成田空港へは到着しましたが、アメリカで記録的大雪とのことで成田‐ワシントンD.Cも遅延、ワシントンからオーランドの便も軒並み運休しており、ワシントンの空港で12時間過ごしたのち、午前1時くらいにオーランドに到着するのが最善とのこと。英語力に不安のある私は、ワシントンで万が一その便も欠航になったら…と悩み、結局サンフランシスコ経由の便に変更してもらい、予定より7時間ほど遅れてなんとかオーランドに到着することができました。菅原先生も同じ便に変更となったので、とても心強かったです。

オーランドといえば暖かい、半袖!と思っていましたが、その寒波の影響で驚くほど寒く、現地の方はダウンなど着ており、Tシャツばかり持っていったことを後悔しました。今年1番寒いくらいの気温だったようです。そしてまた、アメリカと言えば肉!と考え、21時半からトマホークステーキを食べに行ったり、到着日の23時頃からハンバーガーを食べたりと、普段以上に活発な食生活を送ることができました。

学会には当教室からは、菅原準一先生、齋藤昌利先生、櫻田尚子先生、湊敬廣先生、渋谷祐介先生、和形麻衣子先生、越智さん、ドンさん、私と9名で参加しました。テーマはやはり周産期、生殖医療関連が中心で、今年も悪性腫瘍関連は1割程度でした。毎日ポスターセッションがありましたが、100題以上あるうち腫瘍は3題/日でした。ポスター発表のプレゼンターにIN-TRAININGというカードを掲げた方は今年も多かった印象ですが、IN-TRAININGとある場合には、評価者が4分程度の質疑応答を行っているということを今回初めて知りました。湊先生はIN-TRAININGで申し込まれていましたが、1人の方と10分以上の質疑応答をされており、一緒に聞いているだけでも勉強になりました。和形先生は口頭での発表でしたが、英語での質問にしっかりと受け答えされており、私もこうなれるように英語を頑張ろう!とまた決意を新たにしました。

その他、腫瘍のいくつかのセッションに参加してきました。私の研究分野に通じる子宮内膜癌のホルモン治療についての発表もありましたが、乳癌や前立腺癌のホルモン治療をスマートフォン、子宮内膜癌のホルモン治療を黒電話に例えており、他の分野と比較してまだ子宮内膜癌の治療の確立が遅れている現状と今後の展望をとてもわかりやすく学ぶことができました。また、PARP阻害薬やBRCAについての発表は今年も多く、現在行われている治験への理解をより深めることができたと思います。

また16日には、日本から参加されている他大学(東京大学、名古屋大学)の先生方と一緒に食事をする機会がありました。現在行われている研究など、同世代の先生方からも直接伺うことができ、刺激になりました。

最後に、今回学会への参加・発表の機会を与えてくださった八重樫教授をはじめ、医局の先生方に感謝申し上げます。