Malignant transformation arising from mature cystic teratoma of the ovary: A retrospective study of 20 cases
:International Journal of Gynecological Cancer (Accepted: 02/24/2010)

成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化20症例の後方視的検討

論文要約

[目的]
成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は悪性卵巣腫瘍の中でも稀な疾患であり、卵巣外への進展を認める場合予後不良である。一般に上皮性卵巣癌に準じた外科的手術が行われることが多いが、術後療法に関しては未だ有効な治療法は確立されていない。我々は過去20年間に経験した成熟嚢胞奇形腫の悪性転化症例に関し、治療および予後について文献的考察を加え検討した。

[方法]
1988年〜2008年に当院で手術を行い病理組織学的に成熟嚢胞奇形腫の悪性転化と診断されインフォームドコンセントを得られた20例の臨床因子、治療、予後についてまとめた。

[結果]
平均年齢は52.5歳(29−77歳)、組織型は扁平上皮癌15例、その他の組織型は5例であった。進行期はI期11例、II期4例、III期4例、IV期1例であった。全症例に対し初回治療として開腹手術を行い、術後20例中8例に化学療法、2例に化学療法併用放射線治療、1例に放射線治療を施行した。初回化学療法にはすべて白金製剤を含むレジメンを用いた。II期〜IV期の1例を除く8例は原病により死亡。1年生存率は70%であった。全I期例とIII期1例を含む12例は7−180ヶ月の観察期間中、再発を認めていない。予後は年齢、進行期と有意に関連し、また初回手術時に残存腫瘍を認めない群は認める群と比較し有意に長期の生存期間が得られた。また癌死例で化学療法含む治療を行った5例中4例で1年以上の生存期間が得られ、内パクリタキセルとカルボプラチンを併用した2例(扁平上皮癌)で一時的な腫瘍縮小効果を認め、ネダプラチンを用いた放射線同時化学療法を施行した2例で治療効果を認めている。

[結語]
本症例群では、年齢、進行期および初回手術時の残存腫瘍の有無が生存期間に有意に関連していた。白金、タキサン製剤を含む化学療法の有効性が示唆されたが、治療法の確立には今後さらに症例を重ねての検討が必要である。

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佐久間 道子(さくま みちこ)
福島県福島市出身
H12年   東北大学医学部卒業、産婦人科教室入局
H12年   太田西の内病院
産婦人科
H13年   岩手県立磐井病院
産婦人科
H14年   東北公済病院
産婦人科
H15年 〜 H19年3月
    東北大学医学部大学院
H19年   気仙沼市立病院
産婦人科
H20年〜   東北大学病院
産婦人科(助教)
本人コメント
婦人科腫瘍を専門としています。
皆さんが安心して診療を受けれるよう、新しい知識と技術を身につけていきたいと考えております。
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