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留学報告

フレッドハッチンソンがん研究所留学中

重田 昌吾


シアトルの街並み
右端がスペースニードル
皆さまこんにちは。私は2016年9月より シアトルにあるフレッドハッチンソンがん研究所(Fred Hutchinson Cancer Research Center:以下FHCRC)に研究留学しております。

FHCRCといえば八重樫先生、豊島先生も留学されていた当医局と所縁の深い研究所ですが、施設名はシアトルが生んだ偉大な野球選手フレッド・ハッチンソン (1919-1964)に由来しています。若くしてがんで亡くなった弟の死を悼み、兄であり医師もあったウィリアム・ハッチンソンが中心となり1975年にFHCRCが設立されました。特に骨髄移植の分野でパイオニアとして知られていますが、現在ではがんに限らず世界の生命医学研究をリードする研究所の一つでありこれまでに3名のノーベル賞受賞者を輩出しています。私のようなポスドクや大学院生も含め世界から多数の研究者が集まっており、国際色豊かです。

当然コミュニケーションは英語ですが、私の英語はこれまでのところ思っていた以上に上達が見られません。が、英語への抵抗感は薄れ、文法的に間違っていようが気にせずしゃべるようになりました。リスニングだけは多少ましになったようで、フレンズやシンプソンズを見ながらたまにニヤニヤしています。

さて、FHCRCはいくつかの部門に分かれており、私はHuman Biology部門にあるDr. Christopher Kempが主宰するラボに所属しております。ボスを含めて総勢5人と小規模なラボですが、豊島先生が師事していたDr. Grandoriをはじめ多方面の研究者、臨床医と連携しトランスレーショナルリサーチに注力しているアクティブな研究チームです。癌種を問わずたくさんのプロジェクト が進行中ですが、私が大学院で従事した研究が卵巣癌関連だったこともあり卵巣癌治療をテーマとした新しい研究を立ち上げさせてもらえることになりました。不慣れな英語でプレゼンとディスカッションを繰り返しながら、方向性がようやく見えてきたところです。

研究内容について何かを書けるような結果はでていませんので、今回はシアトルの簡単な紹介と、海外生活のセットアップで苦労したことを書かせていただこうかと思います。これから研究留学を考えている方へ少しでも参考になれば幸いです。

1. アパートがなかなかみつからない

東海岸やカリフォルニアの大都市程ではありませんがシアトルの家賃は年々高騰しており、かつ空室が少ないです。私も予算に見合うアパートが決まらず、電話での英会話にもつまずき1週間探し回ってようやく妥協できる部屋を見つけることができました。シアトルにはアマゾン本社があり(FHCRCのすぐ近くです)、近隣の市にはマイクロソフトの本社やボーイングの工場など日本でも有名な企業があります。不況と言われるアメリカの中でも経済的成長が続いているエリアであり、家賃にも反映されているようです。ラボのボスやシアトル在住の日本人研究者の皆さんにも手伝っていただき、家がきまった後は比較的スムーズに生活のセットアップができました。一人では厳しかったと思います。

2.日本人には比較的住みやすい?

FHCRCには現在日本人は数名のみのようですが、近くのUniversity of Washington では多くの日本人研究者が勤務されているようです。また、企業駐在、あるいは留学で来ている日本人にもしばしばお会いします。国境をまたいで隣のバンクーバーは語学留学の学生が多かった気がしますが、シアトルは社会人として来ている人のほうが多い印象です。日系スーパーや日本食レストランも充実しており少し割高ですが日本の食材、加工品も簡単に手に入ります。

3.アウトドアアクティビティが盛ん

シアトルは平日でもランニング、バイキング(=自転車)をする人であふれており、夏冬問わずアウトドアアクティビティもさかんです。食生活も含めて健康に対する意識が高く、アメリカと聞いてイメージされがちな肥満の問題はシアトルにはあまり当てはまらないようです。ラボのメンバーも週末になるとスキー、ハイキング、乗馬、スカイダイビングとみんなどこかへ出かけていきます。月曜日には決まり文句のように「週末どうだった?」と聞かれるのですが、毎回何にもしなかったでは恰好悪いし運動不足を何とかしたかったのでテニスやランニングを始めました。しかし学生の頃のようには到底いかず、軽い運動でも膝を痛め2日遅れの筋肉痛に悩まされるなど日本での不摂生と30代後半という年齢を痛感しています。

4.地ビールをぜひ

ワシントン州、隣のオレゴン州には小規模のいわゆるマイクロブリュワリーが集まっており(立花先生の留学報告でも紹介されていますね!)、スーパーやバーでは大手メーカー以外のいろいろなビールが手軽に購入できます。日本ではラガー一辺倒だった私も、Dr. Kemp 一押しのIndian Pale Aleにすっかりはまってしまいました。日本の大手メーカービールも相変わらず好きですが、のど越しよりも味わいをより楽しめるビールはとても新鮮です。

5.プロスポーツチームが多い

日本ではシアトルマリナーズが有名ですが、それ以外に男女サッカー、女子バスケット、そしてアメリカンフットボールと5つのスポーツチームがあります。特にNFLのシーホークスは2013年にスーパーボールを制した強豪で、シアトルでは一番人気のあるスポーツチームです。今の時期、街はシーホークスのシャツを着た人であふれています。男子サッカーのサウンダーズも2016年にMSL初優勝を飾り人気急上昇中です。女子サッカー、女子バスケットチームには日本人選手も所属していますので、今年はスポーツ観戦も楽しみの一つです。仙台市民としては元楽天の岩隈投手がやっぱり気になりますよね!

シアトルは秋〜初夏まで雨が多い、家賃が高いなどの面もありますが、ダウンタウンの一部以外は治安も比較的よく、エメラルドシティ(なんとなく杜の都を連想させませんか?)と呼ばれている通り市街地にも緑があふれています。シアトル、ポートランドなどノースウエストの都市はアメリカでも人気だといわれますが、実際住んでみてその理由がわかってきた気がします。大きな学会がないので医局の皆さんが訪れる機会はあまりないかもしれませんが、おこしの折はぜひお声がけください。スペースニードルやパイクプレイスマーケット、スターバックス一号店など近場だけの観光でも十分楽しめると思います。

  パースの朝焼け   パースの朝焼け  
  マウントレニア スペースニードルより   船上からみたダウンタウン  

 

末筆になりましたが、留学の機会を与えていただきました八重樫教授、快く送り出していただいた医局の皆さまに感謝申し上げ第一回の留学報告を締めさせていだきます。限られた時間ですが少しでも日本に持って帰れるものができるよう、引き続き頑張ります。