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留学報告

クリーブランド留遊記

柿坂 はるか

皆さま、こんにちは。
私は主人がアメリカ、オハイオ州、クリーブランドのCleveland Clinic FoundationにResearch fellowとして留学するのについて2010年6月より渡米しました。
実際には私の留学ではないので、このような報告をするのに値しないかとも思いますが、私と同じように配偶者の留学についていく先生もいるであろうし、その先生のご参考になればと思い書くことにしました。

アメリカに来る前に二つ目標を立てました。一つは英語を少しでもいいから上達させる、というもの。二つ目には病院の見学、あるいは研究室を覗いてみる、というものでした。

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ESLのクリスマスパーティ

英語に関しては私のいるクリーブランドは勉強をする機会は沢山あります。English for second language(ESL)といって英語を第二言語とする人のための英語のクラスが沢山あります。そしてそのほとんどが無料です。これは市が教師の給料を支払っているのですが、生徒の英語の進歩の程度によって翌年度の給料が決まるといういかにもアメリカらしい制度になっています。生徒が仕事を得るとさらに給料は上がるらしいです。そのため履歴書の書き方や法律も教えてくれます。お金のない人でもやる気があれば勉強できると同時に、このことはクリーブランドでは英語が話せないと職に就けないということも示していると思います。

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子供の友人のバースディケーキ
こんな派手な色にも驚かなくなりました。

私は当初は日中のクラス(週3回、各2時間半)に参加していましたが、研究室に行くようになってからは夜のクラス(週2回、各2時間半)に通っていました。ここでは文化の違いを始めとても多くのことを学びました。生徒達の出身地はメキシコ、ペルー、ブラジルを始め、リビア、エジプト、スペイン、ドイツ、ベルギーや中国、ベトナムなど世界各国にわたり、彼らと話をすることは自分が日本人であることを強く意識させられると同時に遠く離れた国同士にも共通点が沢山見つかりとても有益な時間でした。日本人の生徒も私のほかにも数人いました。おもしろかったのは、日本人は授業の後の先生がしている片付けを手伝うのですが、他の国の人たちはそれを見ていてもほとんど手伝わなかったことです。その他には、皆、授業の途中で質問をするのにためらわないことです。生徒の質問が多すぎて授業が進まないこともよくありました。受けてきた教育の違いを感じました。また、英語の勉強だけではなく、field tripと称して夜に教会で行われるクラッシックコンサートや昼間のクラスではapple pickingなどの企画も楽しいものでした。

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さて次は私の行っている研究室の話です。私が行っているのはCase Western Reserve大学という地元の私立大学の医学部にあるMolecular biology & microbiologyというdepartmentの中の一つで私を含め総勢4〜5名というとても小さい研究室です。PIは女性で子供が二人いるお母さんでもあり、もともと産婦人科医なので理解しあえる部分が多い、と私は思っているのですが、nativeのアメリカ人でかつマシンガントークなので、当初は何をいっているか全く言葉がわかりませんでした。ここのdepartmentのほとんどの研究室がHIVに関連した仕事をしていますが私の研究室では近年マグネシウムに関連した仕事を行っており、そのいくつかを手伝わせてもらっています。

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私のボスのHelene Bernstein博士

主な内容は、脳性麻痺の予防にMgの投与が有効であること、新生児の血清サイトカイン濃度は脳性麻痺と関連があることに基づき、「マグネシウムは炎症性サイトカインの産生を減少させる」との仮説をたて実験をしています。臍帯血より分離した単核球やmonocyteのcell lineをLPS等で刺激しマグネシウム投与によりサイトカインの産生がどう変化するか、などを見ています。これまでにIL-6、TNFαで統計学的に有意に減少することが確認されています。このテーマは産婦人科ならだれでも使ったことのある硫酸マグネシウムの効果をみるもので、臨床に直結するとても興味がある内容です。しかし、いざ実験となると、cell lineは別ですが臍帯血の場合、お産をまって検体が得られてから単核球を分離しLPS等を投与して6時間後にようやく実験がスタートする、という子供がいる私にはとても大変なスケジュールになります。実際には大学病院なのでお産の件数はとても多く意外とtermの臍帯血は手に入りましたがpretermの検体は時間帯もまちまちでありなかなか手に入りませんでした。それでもPIはとても協力的で私が実験の途中で帰らなくてはならない時には続きをやってくれることもありました。臍帯血をもらうのに関連して分娩室に入る機会もあり、産婦人科のフェローとも話す機会が得られました。

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ディスニークルーズ〜castaway cayにて

このように当初の目標を達成するべく試行錯誤してきましたが、実際にはいまだにスターバックスでキャラメルマキアートを注文しても一度で通じることはありません。
アリとキリギリスのごとく、夏の気候のよい時期はめいっぱい遊び、冬で帰国前の今の時期にやらなくてはならないことが多く悲鳴をあげています。残り約1か月とわずかですが、アメリカでしかできないことを体験し、日本での生活に役立てたいと思っています。
最後になりましたが、私自身の留学ではないにも関わらず、快く送り出してくださった、八重樫教授、公済病院岡村院長を始め諸先生方に深く感謝いたします。

2012年2月 柿坂はるか