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テキサス大学留学記 その2

仲村 三千代

私がサンアントニオに来て、早2年が経過しました。
テキサスを出てアメリカの他の州に行くよりメキシコに行く方が近い町、サンアントニオ。「外国で知らない人に話しかけられたら警戒しなさい」があてはまらない陽気な町、サンアントニオ。全米で肥満率がトップ10に入る、サンアントニオ。そんなサンアントニオから近況をお送りします。

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研究室総出の集合写真

さて、我が研究室は、テキサス大学のヘルスサイエンスセンターサンアントニオ校の、産婦人科に付属している、生殖・新生児研究センターです。主に妊娠中のお母さんの病気や環境が、赤ちゃんにどんな影響を与えるのか、というテーマで研究を行っています。最近赴任して来た教授のグループは、臨床的な研究を行っており、「妊娠中の肥満について」の研究をしている先生もいます。サンアントニオでの研究がぴったりですね。何しろ、大学付属病院の産婦人科で分娩する妊婦さんの、何と60%以上が肥満なのです!その先生たちのグループでは、妊婦さんたちの同意を得て、肥満の妊婦さんにサプリメントを飲んでもらって効果を調べたり、実際の分娩の時に、胎盤を少しもらったりしています。もちろん大学の倫理委員会の承認を得て研究している訳ですが、アメリカのそういった臨床研究でうらやましいと思うのは、専任のリサーチナースがいて、患者さんと話をしたり、同意を得たり、といった過程を全て行ってくれることです。 リサーチナースは、常に病棟をチェックして、今どういう患者さんがいて、お産になりそうか、ということを把握し、研究の対象になる患者さんに説明をして、同意を得て、研究者に連絡して検体を取る手筈を整えてくれます。
また、妊婦さんにサプリメントを飲んでもらう無作為化対照試験では、妊婦さんに、3回程病院に来てもらって、質問に答えたり、採血したりするのですが、来てもらう度に交通費と、ウォルマートのギフト券がもらえるのです!豊かに見えるけど、実は貧困層も多いアメリカ。医療保険も自己責任で、しかも医療費は高いアメリカですから、50ドルもらえて、その度の診察料が無料となれば、参加したい妊婦さんも多いのではないでしょうか。お金で参加者を募るというのも賛否両論あるでしょうが、日本に比べると、臨床試験もやりやすい、研究的には恵まれたアメリカがちょっと羨ましくなるときがあります。
さて、サンアントニオは肥満率が高いと書きましたが、アメリカ人の食生活は、日本人から見ると驚くばかりです。人によっては、お昼ご飯はリンゴとポテトチップとか、夕ご飯は冷凍のフライドチキンだけ、とか当たり前です。最近では日本食がブームになり、あちこちで寿司の看板を見かけますが、「寿司を食べたらヘルシー」と信じて、野菜なしの寿司だけ食べてヘルシー気分を味わっているアメリカ人も多いようです。今の私の研究テーマは「妊娠中の栄養状態が赤ちゃんにどんな影響を与えるか」ということですが、日本とアメリカでは、栄養状態を語る場合にはそのベースが全く異なるということを認識する必要があると感じています。

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カウボーイの街、バンデラでの勉強会の後、
Jansson先生(真ん中)をはさんで、
ポスドクの仲間たちと。
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産婦人科全体での年末のパーティーにて、
Tom McDonald 先生と。

 

そんなこんなで日々過ごしていますが、実際の研究は、私に与えられたテーマは、私と、PIの先生とで行っているので、実際に手を動かして実験するのは私一人になります。日本でもそんなに実験の経験がある訳でもない私が、やったこともない実験を、いろんな人に教わりながら試行錯誤で行っているので、日々試練の連続です。そんな感じなので、結果が出るまでもかなり時間がかかっている状態ですが、何とか形に残る仕事が出来ればと思いつつ頑張っているところです。

サンアントニオは、暑いところを除けば、住んでいる人は陽気で優しく、治安もおおむね良いので、とても住みやすいところだと思います。スペイン語を話す人も多いので、時々必要にせまられて電話すると、普通の英語でさえ嫌なのに、スペイン語なまりの「スパングリッシュ」に苦労することはしばしばありますが…。その分、英語が第一言語ではない人たちが多いので、こちらの苦労も分かってくれて、嫌な顔一つせず対応してくれることがほとんどです。

これからサンアントニオは夏真っ盛り、暑いシーズンが数ヶ月続きます。暑さに負けないように、頑張っていきたいと思います。

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サンアントニオのお祭り、フィエスタのパレード
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サンアントニオスパーズの試合観戦