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東北大学産婦人科後期研修プログラムを修了した先輩の感想
後期研修体験記1
私は東北公済病院、スズキ記念病院、大崎市民病院でそれぞれ約1年間ずつ研修を行いました。病院ごとに特色があり、さまざまなことを学べた3年間でした。
最初の研修は東北公済病院で行いました。東北公済病院は年間約1300件の分娩を行っている病院であり、私はそのうちの450件の分娩(うち帝王切開130件)を担当しました。また、婦人科でも年間約600件の手術を行っており私は160件の手術を執刀しました。1年間でこれだけ経験できる病院はなかなかないと思います。分娩室と手術室の行き来でとても忙しかった毎日でしたが、この1年間で私は産婦人科の基礎を学べた気がします。
その後、スズキ記念病院で1年間研修しました。スズキ記念病院では分娩や手術も数多く行っておりますが、何より特徴的であるのは不妊治療を行っていることです。私は不妊治療に興味がありましたが、実際にどのようなことを行っているか知らなかったため、スズキ記念病院で学べてとても充実した1年間でした。採卵や胚移植も自分の手で担当させていただき、妊娠が成立したときには患者さんとともに喜びを分かち合いました。また、スズキ記念病院では初めて外来も経験しました。
SUSROG最後の1年間は大崎市民病院でした。大崎市民病院では婦人科悪性腫瘍を経験しました。悪性腫瘍の難しい手術も執刀し手術の奥深さを実感しました。手術や化学療法の計画立てることで悪性腫瘍について学べました。また、産科も婦人科も、合併症のある患者さんも多く、産婦人科の疾患に加え、他の科の疾患の勉強もできました。今までの基礎知識にさらに肉付けをできたような気がします。
このように、1か所だけではなく複数の病院で勤務することによってさまざまな疾患に携わることができ、大変充実した研修を送ることができました。たくさんの先生方とも知り合うことができ、とても楽しく充実した3年間でした。
後期研修体験記2
仙台後期研修ユニットの研修プログラムのもと、東北大学病院での1か月の研修期間ののちに気仙沼市立病院に異動しました。気仙沼市立病院は気仙沼地域唯一の総合病院であり、あらゆる症例を学ぶことができました。医師の数や施設の問題から自院で取り扱うことのできない症例もありましたが、適切な初期対応や搬送の判断が必要とされる場面を多く経験するができたように思います。また、沿岸ならではの船中分娩の症例や、挙児希望があるけれど夫が遠洋漁業から帰るのが半年後なんですといった女性の嘆きに触れる機会もあり、貴重な体験となりました。その後異動した岩手県立中部病院、仙台市立病院では腹腔鏡、開腹、腟式と多岐に渡る手術の経験を積ませていただくことができました。岩手県立中部病院では産科麻酔への知識を深め、無痛分娩や外回転術をさせていただく機会もありました。仙台市立病院は救急症例が多く、忙しい日々ではありましたが、同年代の専攻医がたくさんいるため助け合い相談しあいながら充実した研修を送らせていただきました。SUSROGでは特色の異なる様々な施設で研修を行うことで、効率よく知識、技術を学ぶことができました。これからは大学病院でさらに研鑽を積んで参りたいと思います。
後期研修体験記3
私は初期研修2年間と3年目・4年目を、国立病院機構仙台医療センターで行い、5年目を岩手県立中部病院で行いました。
仙台医療センターでは初期研修が産婦人科コースであったため、帝王切開の執刀(100件)を始め、緊急手術にも呼んでいただき、様々な産婦人科手術の助手も経験することができました。当直にも積極的に入らせていただき、数多くの経腟分娩(180件)を経験することができました。研修医時代に数多くの経験を積ませていただいたおかげで、3年目の4月からは1人当直が始まりました。また、産科・婦人科外来、手術では婦人科良性の開腹・腹腔鏡手術の執刀や、悪性腫瘍手術の助手を経験することができました。4年目は、婦人科手術では難易度の高い症例(巨大子宮筋腫や内膜症高度癒着症例等)も最後まで執刀させていただき、また、婦人科がん症例では初診から、治療、退院・転院調整等も経験させてもらえました。仙台医療センターの特徴として産婦人科コースがあるため、少なくとも毎年2名の産婦人科志望者がおり、また一般コースからも産婦人科に興味を持ち志望する後輩がいるため、研修医・レジデントの数が多いのも特徴です。4年目はその中では先輩の立ち位置となるため、指導することも多くなり、指導することの難しさも体験することができました。産科では28週未満の早産の周産期管理はNICUの関係で経験することはできませんが、それ以外の症例はほぼ全て症例(産科出血、精神疾患合併等、他科の疾患合併症例)が経験でき、婦人科では、不妊治療を除くほぼ全ての症例を経験することができました。悪性腫瘍手術は毎週あり、主に助手として入っていましたが、骨盤〜傍大動脈リンパ節の解剖を学ぶことができました。また、術後管理はレジデントも積極的に行うことができたため、貴重な経験をさせていただきました。医療センターでの研修では、数多くの経験をさせていただき、比較的稀な症例も数多く経験できたため、とても充実して楽しい4年間でした。
5年目の岩手県立中部病院は、仙台医療センターと比較して、規模も小さく、その病院でできることが限られていました。また、仙台医療センターでは救急疾患が搬送されてくる際に、他の仕事で手が離せない時には、他の病院にお願いするという選択肢がありましたが、中部病院では、救急疾患が搬送されてくる際、断るという選択肢は存在しないため、初めは衝撃を受けました。産科では34週以降を扱うため、早産症例は搬送しなければなりません。また、産科出血においても、輸血は在庫が少なく、放射線科での塞栓治療もできず、産科出血疾患も搬送しなければなりません。仙台医療センターでは主に搬送を受け入れる立場であったのに対して、搬送する立場に変わりました。また、仙台では搬送といってもせいぜい救急車での搬送時間は15分程度でありましたが、岩手県では1時間程度です。搬送を決めるタイミングが遅れると、患者の予後に大きく関わるため、的確なタイミングを素早く判断する難しさを学ぶことができました。手術においても、産科の帝王切開は全例(双胎、前置胎盤含む)自家麻酔であるため、麻酔技術に関しても学ぶことができました。また、仙台では経験することができなかった不妊の分野に関しても、AIHまでは行っているため、不妊症スクーニングから、卵管造影、ホルモン負荷試験検査、タイミング治療、AIH等、不妊治療に関しても経験することができました。岩手県立中部病院では、仙台のように稀な疾患等は経験することは少なかったですが、地方病院独特の経験を積むことができ、充実した1年間でした。
SUSROGでは数多くの症例を経験することができました。しかし、産婦人科は様々な分野があり、まだまだ経験したいことが数多くあります。年数を重ねるごとに産婦人科への興味は増し、日々楽しく仕事をしています。6年目の今も産婦人科を選んで本当に良かったと感じています。産婦人科は自信を持ってオススメする科であり、産婦人科をレジデントとして学ぶ上でSUSROGは偏りなく様々な症例を経験できるため、素晴らしいシステムであると思います。
後期研修体験記4
仙台市立病院は、産婦人科救急を中心として周産期医療、腹腔鏡、開腹、腟式手術など幅広い分野を扱っています。卵巣捻転や異所性妊娠を始めとする救急疾患を多く受け入れており、臨時手術となることも多く、忙しい毎日を送っております。
分娩件数は年間約950件、帝王切開は約230件で、34週以降の分娩を数多く扱っており、当院に1年間研修した時点でおよそ200件の分娩に立ち会いました。超緊急帝王切開手術(Grade A CS)にも取り組んでおり、スタットコールを鳴らしてから(超緊急帝王切開を決定してから)15分以内に児娩出するよう、病院全体でシステムを整備しております。小児科、麻酔科医師を始め、周産部や手術室スタッフの協力の下、安全で速やかな帝王切開が可能となっております。年に数回程度、超緊急帝王切開術の流れを確認するための予備訓練を行っています。
婦人科手術に関しては、腹式単純子宮全摘術はもちろん、腹腔鏡手術も多く行っております。手術件数は年間約578症例あり、うち開腹164件、腹腔鏡291件です。円錐切除術や子宮鏡も扱っています。バラエティに富んだ症例を数多く学ぶことが出来るため、とても有意義な研修になると思います。腹腔鏡下手術では、全腹腔鏡下子宮全摘術を執刀させていただく機会もあります。上級医の指導のもと、より正確かつ迅速な手技獲得に日々励んでおります。
忙しい日々ですが、毎日とても充実しています。経験豊富な先生方に助けられながら、たくさんのことを学べます。是非、仙台市立病院で一緒に働きましょう。
後期研修体験記5
私SUSROG 研修は東北大学病院の勤務から開始となりました。初期研修医の2年間では合計6か月間の産婦人科研修期間がありましたが、まだまだ診療に対して未熟な部分がたくさんあり日々の診療に不安を抱えていました。そんな自分の不安を包み込んでくれるように、東北大学病院の先生方は一つ一つの診察に対してとても丁寧に指導して下さり、産婦人科診療に対する基盤を築いていただきました。周産期の病棟での勤務が主であり、重症な切迫早産や産後出血に対する対応をたくさん学ばせていただきました。
大学病院で6か月間の研修の後、後期研修1年目から2年目は仙台医療センターで研修させていただきました。仙台医療センターは年間の分娩数が900〜1000件であり、婦人科救急や悪性腫瘍に対しても力を入れている病院です。大学病院では副直という立場であり、1人で当直する機会がありませんでしたが、医療センター勤務開始およそ2週間で1人での当直が開始となりました。ほとんど婦人科救急の経験がなかったため教科書片手に緊張しながら当直をしていたことが忘れられません。指導医の先生の「わからないことがあったらいつでも連絡していいよ」という言葉に何度も救われました。おおよそ1年6か月間で多くの分娩、また婦人科手術を経験させていただきました。
その後1年間はスズキ記念病院で研修させていただきました。不妊治療を専門としている病院であり、体外受精の際の採卵や胚移植も経験させていただきました。それまで経験のなかった生殖医療の難しさに戸惑いながらも、研修が終わるころには楽しめる余裕も出てきました。また、主治医制の診療スタイルをとっている病院であり、診療に対する責任感も日々学ばせていただきました。
研修病院にはそれぞれ特性があり、SUSROG研修の3年間で多くの病院で研修することで周産期、婦人科、生殖医療とすべての分野に触れることができました。研修中に自分が将来専門としたい分野に対する意識も芽生えてきています。産婦人科の基礎を学ばせていただいたSUSROG研修に感謝の気持ちでいっぱいです。
後期研修体験記6
東北大学病院、仙台市立病院で研修したのち、医師4年目から2年間気仙沼市立病院で研修を行いました。常勤医師数が2〜3人と、SUSROGで後期研修医が回る病院の中ではかなり少人数での体制です。外来や手術中に分娩が重なったり、搬送があったりと忙しいですが、全員が日々全力で診療にあたっています。医師数が少ないので、自分がやらなければいけない比重も大きく、今まで以上に責任を持って仕事に取り組めています。昨年の年間分娩件数は447件、手術件数は285件(前年度より100件増加!)で、婦人科手術の半数以上は執刀させていただきました。腹腔鏡手術から腟式手術、悪性腫瘍手術まで幅広い症例を取り扱っています。
気仙沼では他に分娩を取り扱っている施設がないため、当地域のすべての妊婦さんが集まります。当院では管理が困難な場合は大学病院等高次施設に搬送しなければなりませんが、今後のリスクを予想・評価し適切なタイミングで紹介することもとても大切です。また気仙沼で産まれる赤ちゃんは全て自分が関わっているんだなと思うと、身が引き締まる思いです。
婦人科も全ての患者さんを受け入れるため、一般開業医で扱うような症例から、悪性腫瘍、不妊症まで満遍なく経験を積むことができます。
このように、産婦人科専攻医として必要な一般知識を偏りなく学ぶには最適の病院です。余談ですが病院のスタッフをはじめ地域の人柄が良くとても仕事がしやすい環境で、海の幸にも恵まれすごくいい所です。
学生の頃から目指していた産婦人科医として働くようになり3年が経ちますが、日々診療をしていてやはり産婦人科を選んでよかった、と感じます。産まれる前から最期の時まで、人の一生に関われるのは産婦人科だけです。産婦人科に興味のある研修医の先生方、ぜひ一緒に働きましょう!
後期研修体験記7
分娩数年間約700件、手術数約500件の岩手県立中部病院で二年間研修し、産婦人科としての基礎である正常分娩、良性疾患、産婦人科救急疾患を十分な症例を経験させていただきました。研修をしていく中で産婦人科としての基礎とさらにサブスペシャリティ(不妊、周産期、腫瘍)への興味も湧いていくなか、三年目に分娩数約1500件、婦人性悪性腫瘍に関して、診断、手術、術後治療から終末期医療まで対応している八戸市立市民病院での研修を希望しました。
研修をしていくなか悪性腫瘍の分野でも主治医を多く任されるようになり、さまざまな症例を経験させていただきました。しかしながら思うような経過にならないことも多くあり(術後経過、再発など)自分の力不足を感じるとともに腫瘍分野に強く惹かれるようになりました。すこしでも腫瘍で苦しんでいるかたの役に立てるようにもっと経験と勉強をしなければと思うようになりました。
現在は大学病院で腫瘍グループに所属し更なる勉強をさせていただきながら、様々な病院の当直などをやらせていただいております。
SUSROGでは専門医までの症例数、論文などの指導はもちろんのこと、産婦人科としてのサブスペシャリティを決定するうえで偏りのない研修ができます。
産婦人科としての基礎を築き、そこからみえる更なる先の産婦人科の景色を眺め、進路を決定するのにとても有用であったと思います。(もちろんそこへ導いていただけるとても優しく、時に厳しく頼りになる指導医の先生との出会いが大きいです)
最後になりましたがご指導いただいた中部病院、八戸市立市民病院の先生方への感謝を申し上げ感想とさせていただきます。
SUSROG 研修医より
後期研修体験記1-スズキ記念病院にて生殖医療を中心に研修
年間分娩数830件、手術数650件の東北公済病院で、周産期・腫瘍について臨床に即した研修をし、今後の基礎となることを1年6ヶ月間習得したのち、スズキ記念病院で周産期、一般婦人科の他、特に生殖医療・不妊を中心に日々勉強させていただいています。スズキ記念病院は年間分娩数は1000件を超えており、手術数(主に腹腔鏡手術)は200件と充実しています。又、周産期・一般婦人科に比べ、不妊を専門的に扱っている病院は数少ない中、日本で初めて体外受精による妊娠・出産を成功させた鈴木雅洲先生(元教授)のもとで、年間350件の体外受精を行っています。最近1年間で、体外受精で336人中92人(27.4%)が妊娠成功しています。東北公済病院での研修中は生殖医療の勉強は殆どしてこなかった私ですが、スズキ記念病院で研修開始し3ヶ月目の時点で、当番日にはひとりで採卵・胚移植を行いました(勿論、培養士さん・看護士さんのサポートの上ですが…)。不妊外来にも少しずつ慣れ、産科・婦人科とは一味違った生殖医療の難しさを痛感しています。
又、スズキ記念病院では当直明けの日は午後フリーですが、私はその時間を利用して培養室に入り浸り、培養士さんからみた不妊治療についても教えていただいています。 ビデオでしかみたことのなかったICSIや顕微孵化、精子や卵の凍結・解凍などを見せていただいたり、また実際に自分で手を動かしたりもしています。
大学5年の学生実習で初めて顕微鏡で精子を見たときの、叫びそうになった程の衝撃は今でも忘れられないのですが、今回初めて卵を見て、自分の手でピペットで卵を移し変えたりなど直接触れてみて、『卵』に対してすごく感動がありました。産科で新生児をみてかわいいなあ〜と思うのと同じように、培養室で受精卵をみてかわいいなあ〜と思い、この仕事についた幸せを感じる今日この頃です。今、生殖医療について改めて学び、毎日感動することが多く、改めて自分が今ついている仕事について考えるよい機会となっています。
後期研修体験記2-仙台市立病院にて産婦人科救急医療を中心に研修
現在仙台市立病院にて産婦人科後期研修を行っております。今日は、ここ仙台市立病院での私の日常について、レポートしてみたいと思います。
仙台市立病院は、3次救急に取り組んでおり、仙台市内の中でもとりわけ急性期救急疾患の多い病院であります。産婦人科も例外でなく、子宮外妊娠をはじめとして、婦人科急性腹症を多く受け入れています。 臨時手術になることも多く、なかなか忙しい毎日を送っております。また産科病棟、婦人科病棟が分かれており、3ヶ月毎に、産科病棟勤務、婦人科病棟勤務が入れ替わります。私は婦人科病棟3か月勤務ののち、現在は産科病棟で研修中です。
さて、産婦人科医として最初に習得すべきは、やはり産科領域についてでしょう。 私もこの2年少々の間に、800例を超える分娩に立ち会いました。 分娩はスムーズに進行するケースもあれば、緊急帝王切開を行わなければならないケースもあり、非常にダイナミックです。また昼夜を問わず分娩は進行しますので、真夜中の分娩は体力的につらいこともありますが、分娩が終わり、本当にうれしそうな母親と、その母親の胸で安心しきって眠っている赤ちゃんを見ていると、そういったつらさも忘れてしまいます。産婦人科をやっていて良かったなと思える瞬間です。 また市立病院では、骨盤位分娩やVBAC(帝王切開後経腟分娩)に積極的に取り組んでおり、これらの貴重な経験を積ませていただいております。
ところで、初期研修制度のもと産婦人科にも初期研修医のローテーターが研修に来られています。1ヶ月という産婦人科の醍醐味を知るには非常に短い期間ですが、産婦人科医の不足が叫ばれる中、一人でも多くの研修医の先生方に産婦人科に興味を持ってもらえればと日々努力しております。
最後になりましたが、産婦人科は非常にやりがいのある分野です。これからも多くの経験と研鑽を積んでいきたいと思います。
後期研修体験記3-宮城県立がンセンターにて婦人科がん診療の研修
がんセンターはその名の通り、悪性あるいは悪性を強く疑う疾患を主に扱う施設であり、この点においてかなり特殊な環境ではあります。分娩や婦人科救急搬送などはありませんが、より専門的な高度な医療を提供しています。 また、ホスピスも併設されており、診断から治療、そして終末期まで患者とその家族に密に 関わり、「人間の生」についてほぼ毎日考えさせられています。
まず診断に際しては基本的な診察に加え、採取した検体を鏡検することから始まります。がんセンターには膨大な資料とプレパラートがあり、病理を学ぶのにとても優れた環境です。診断後は、MRI・CT等で進行期を判断し、本人・家族に説明のうえで最適な治療法を選択します。行う手術は、円錐切除や広汎子宮全摘術など程度により様々で、がんセンターならではの手術に参加することができます。悪性疾患で標準術式を行う場合にはほぼ全例に中心静脈カテーテルを挿入しています。術後はHCUに入ることがほとんどですが、合併症を有する場合も多く、バリエーションの豊富な術後管理を学ぶよい機会だと思います。
入院患者の多くは化学療法や放射線治療を行っています。化学療法は一日に5〜6人行っています。再発例における治療は、かなり苦慮するところです。胸水、腹水やイレウスに対する処置なども必要となってきます。また進行例における疼痛管理や、終末期のケアなども非常に重要です。 患者とその家族を含めて 十分な話し合いを繰り返し持つように努めています。
患者は概ね50〜60代と比較的若い方が多く、また20〜30代で妊孕能を考慮しなくてはならない場合もあります。知識と技術を磨くのはもちろんですが、患者の人生に目を向け、精神的なケアを行っていくことが極めて重要だと感じます。患者のQOLを損なわないよう、できるだけ希望にそえるような形で微力ながら手助けをしていけたらと思います。
後期研修体験記4-仙台赤十字病院にて周産期医学の研修
仙台赤十字病院は周産期がメインの病院です。したがって、入院患者さんの多くは妊婦さんです。もちろん婦人科疾患も扱っており、婦人科手術も行っています。
分娩は年間約800〜900件を扱っています。正常分娩はもちろん帝王切開分娩が200件ほどあります。
当院は、総合周産期母子医療センターであることが特徴であり、MFICU(母体胎児集中治療室)を6床設置し、県内外の母体搬送を多く受けいれています。
リスクの少ない分娩のみならず、多胎や母体が他疾患を合併しているようなハイリスク妊娠も多く扱っています。そのため早産に至ってしまう症例も多数あります。そのような時には、宮城県で最大規模を誇るNICUに新生児管理をお願いしています。
実際の研修医の仕事としては、やはりまずは妊婦健診と正常分娩を扱えるようになることからでしょうか。分娩に関しては助産師さんから教わることも多く、普通に研修をしていれば自然と身についてしまうので、あまり心配しなくても大丈夫だとは思います。
病棟では入院患者さんの管理はもちろんですが、手術にも参加します。自分で執刀もします。
外来では妊婦健診がほとんどですが、婦人科疾患の患者さんもいらっしゃるので、自分で診断し治療方針を立てていくことになります(もちろん上級医師に相談もできます)。
当然ですが夜間の当直もあります。分娩は真夜中〜明け方に多く、分娩だけではなく夜間救急車の受け入れもけっこうあるので、この点は正直なところ大変です。翌日は寝不足になることも結構あります。でもこれは何科の後期研修医でも同じだと思います。
当院には産婦人科のベテラン先生が5人もいらっしゃるので、いろいろ教わることができます。
産婦人科業務は確かに大変なことも多いけれど、その中に「おめでとうございます。」「また来て下さいね。」といえる機会も多い診療科ではないかと思います。是非、少しでも興味のある方、いっしょに働きましょう。