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海外学会報告
63rd SRI学会参加報告
石橋 ますみ
3月16日から19日までの4日間、63rd SRI (Society for Reproductive Investigation) Annual meetingに参加させていただきました。
開催地であるカナダのモントリオールは石造りの住宅街が並び、数多くの教会や大聖堂なども見られフランス文化の薫り高い一方で、ヴィクトリア朝の建物など英国文化も色濃く残るとても美しい町でした。人々が親切で治安もよく、道で困って立ち止まるとすぐに声を掛けてくれました。第一言語をフランス語とする住人が半数以上を占めているとされながら、ほとんどの人が英語を話すことができ、コミュニケーションに困ることはありませんでした。そしてとにかく食べ物が美味しいことに驚きました。フランス料理、ステーキ、ベーグルにスモークミート、中華料理など様々な食事を楽しめて、どれもとても美味しかったです。また、無形文化遺産になるだけあってモントリオールでも日本料理店が多く目につきました。覗いてみると決して和食とは言えない写真とともに「NINJA」「GEISHA」「KAMIKAZE」「GAIJIN」など得体の知れないメニューが並んでいました。(「NINJA」は創作カクテルで、盛岡冷麺をスイカごとミキサーにかけたような味でした。「GAIJIN」は非常に美味しいカリフォルニアロールでした。)
学会には北谷さん、李さん、ドンさん、重田、佐藤いずみ、橋本千明、石橋の7名で参加しました。テーマが細かく分かれており、その割合はおおよそ産科関連が5割、生殖医療関連が4割、悪性腫瘍関連が1割 でした。どの分野でもStem cellやゲノム・エピゲノムに関する研究が多かった印象です。初日は様々な分野に関する第一線の研究者によるSatellite meetingが行われ、各々が興味のあるテーマの会場に足を運びました。Plasmid DNAを子宮内や胎児組織に投与する胎児遺伝子治療技術の進歩や、卵子の老化とDNA損傷修復遺伝子の関連やそれを応用した遺伝子治療など、非常に興味深い内容が目白押しで私たちの知識を深めるとともに今後の研究意欲が強く刺激されるものでした。
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ひとつの学会でこれほど多岐にわたる分野の研究内容に触れることができ、様々な国の研究者たちと交流できるというのは非常にありがたく貴重であると思います。やや残念だったことは、どの分野でも新たな発見がなされたことに対してそのメカニズムに関する検討が少ない研究報告が多かったことですが、それについてはプレゼンターと実際に話をしてディスカッションが出来たのでお互いに知識を深める良い経験になりました。
参加する前は、英語でのコミュニケーションに強い不安がありましたが、学会という場の良いところは、英語能力を問われているのではなく研究成果がいかに面白いかが問われているということです。プレゼンター達は、どれほど自分の研究が素晴らしいかを伝えたいわけですし、質問者は興味深い研究内容をもっと詳しく知りたいと思っているので、拙い英語でも相手は我慢強く聞いてくれますし、こちらが理解できるように答えてくれます。とにかく何でも話しかけてみることが大事だと強く感じました。
また、特にポスター発表のプレゼンター達に「IN-TRAINING」という札を下げた人が多かったことが印象に残りました。学生だと思いますが、堂々とした姿勢でした。様々な分野の研究テーマや学生たちにも敷居を低くして発表の機会を与えてくれる素晴らしい学会です。今後も若手の研究者たちに是非、積極的に参加してもらいたいと思います。
このたび参加・発表の機会を与えていただいた八重樫教授をはじめとした医局員の先生方、誠にありがとうございました。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。