HOME>海外学会報告
海外学会報告
International Ceramide Conference (iCC) / Sphingolipid Club (SLC)
2015年5月6日〜10日 イズミール(トルコ)
北谷 和之
iCC/SLC合同会議に参加させて頂きましたので、報告させて頂きます。
本合同会議はイズミール(イズミール)のCesmeで開催されました。小さな町ですが、オスマン帝国の歴史が刻まれているのみならず、エーゲ海に面する素敵な自然に恵まれたリゾートです。また、トルコ料理は世界三大料理と呼ばれており、自然に恵まれた素敵な料理が目白押しでした。
本合同会議は、iCCとヨーロッパを中心としたSLC合同で開催されました。会議名の通り、セラミドなどのスフィンゴ脂質に焦点を当て、それらの分子生物学および病態生物学を中心に細胞生物学、遺伝学、分析法などのひろい分野に渡る研究の交流の場です。
PubMedではセラミドに関わる研究論文が既に約2万報に及び、セラミド研究の活力が伺えます。本合同会議に参加したメンバーから、セラミドを含むスフィンゴ脂質研究の歴史が滲み出していました。特にスフィンゴ脂質蓄積症の一つであるSandhoff病を発見したDr. Konard Sandhoff がkeynote speakerとして研究歴史沿って素晴らしい講演を行いました。さらには、我々の共同研究者Dr. Yusuf A. Hannun (Stony Brook University)も常連にも関わらずkeynote speakerとして最新のスフィンゴミエリナーゼ研究について講演しました。
約70演題に及ぶ口頭発表と50演題以上のポスター発表がありました。これらの中に、セラミドなどのスフィンゴ脂質と悪性腫瘍についての研究発表も多数有りました。これらは抗がん剤耐性、抗がん剤作用機序、セラミド治療、スフィンゴ脂質アナログを用いた治療などに関わる研究発表でした。素晴らしい情報を収集するのみならず、発表者との活発な議論から新たな研究視点や共同研究の可能性などを立案するに至り、有意義な時間を費やすことができました。
本合同会議への参加を通じて、婦人科がんでのセラミド治療の可能性を深く心に刻み付けることができました。とくに会議に於いて、ヴァージニア大学Kester教授は今年中にセラミドリポソームの臨床試験を開始することを発表致しました。発表後にセラミドリポソームの譲渡と卵巣がん播種転移への効果を動物実験レベルで試験することを約束して帰国致しました。今後の展開が楽しみです。
最後に、素敵な機会を与えて頂きました八重樫教授に感謝の念を伝えたいと思います。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
![]() |
![]() |