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海外学会報告

NRG ・Semi-Annual Meeting

徳永英樹 高野忠夫

 

平成26年2月6日から9日までアメリカカリフォルニア州サンディエゴで開催されたGOGビジネスミーティングに参加しました。

GOGとしては第88回を数える会でしたが、組織再編に伴い、NRG semiannual business meetingと名称が変更となりました。

NRGとはthe National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP)、the Radiation Therapy Oncology Group (RTOG)、the Gynecologic Oncology Group (GOG)の3組織の頭文字から名付けられています。

海外学会報告 アメリカの婦人科腫瘍に関連する臨床試験を計画、遂行している組織がGOG(Gynecologic Oncology Group)です。6日にはシンポジウムが開催され稀少癌治療に関連するディベートや講演がありました。7日〜9日はそれぞれ小委員会に分かれ実際の臨床試験に関する会議が行われました。日本からはGOG-Japan施設、北里データセンターの約30名が参加しました。GOG-JapanはJGOG参加施設の中で一定の条件を満たした18施設からなります。GOG-JapanはGOG登録施設の要件も満たしているためGOGとの国際共同試験を実施できる体制が整っています。そこで、現在は子宮頸部、子宮体部、卵巣それぞれの臨床試験で5つの国際共同試験を行っています。6日にはGOG-Japan委員会が開催されGOG主任研究者と直接臨床試験に関しての議論を行いました。

その後には子宮頸部委員会、子宮体部委員会、卵巣委員会の3つの委員会に分かれそれぞれの臓器に関連した臨床試験について議論されました。現在は分子標的薬が関係する臨床試験が多く、また莫大な予算がかかるため、企業のサポートがないと、試験実施は困難な状況です。アメリカと日本では臨床試験実施のシステム自体が異なるため、簡単に国際共同治験として実施するのは難しく、医療保険のシステムの違いも試験実施のハードルとなっています。従ってGOGで実施している臨床試験すべてに日本から参加することはできません。

サンディエゴはカリフォリニア南端の都市で、2月でも比較的温暖な地域ですが、おり悪く、日本での歴史的大雪のため、帰国便が欠航となり、現地にもう1泊する事態になってしまいました。帰国便がたまたま一緒の他大学のメンバーと、空港近くのホテルに同宿することになり、トラブルと学会の話題で親睦をさらに深めることとなりました。

現在(平成26年2月)進行中のGOG関連臨床試験

GOG213
プラチナ感受性の再発卵巣癌、原発性腹膜癌および卵管癌に対する二次的腫瘍減量手術の有効性、およびカルボプラチンとパクリタキセルの併用療法にベバシズマブを併用維持療法として使用した場合の有効性を検討するランダム化第V相比較臨床試験

GOG237
異型腺細胞(AGC)という細胞診断患者の子宮頸部病変診断におけるCA-IX, p16, 増殖性マーカーとヒトパピローマウイルス (HPV) による比較解析

GOG263
初回治療として広汎子宮全摘出術と骨盤リンパ節切除術を受けた中等度リスクのステージT/UA 期の子宮頸がん患者に対する術後放射線療法と同時化学放射線療法のランダム化第V相試験

GOG0268
ステージIII-IV期の卵巣明細胞腺癌を対象としたファーストライン治療としてのテムシロリムス+カルボプラチン+パクリタキセルの併用療法に続くテムシロリムスの維持療法による第II相臨床試験

GOG275
低リスク妊娠性絨毛性腫瘍におけるアクチノマイシンD単回投与対メトトレキサート複数日投与のランダム化第V相比較試験