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海外学会報告

カンボジアの産婦人科医療見学記 2013/8/7-2013/8/12

豊島 将文

8月7日から8月13日の日程でカンボジアの産婦人科医療を見る機会があったのでご報告致します。カンボジアでは以前に医師数激減・医学教育途絶という時代があり、現在でも産婦人科学会の活動が低調です。それに対して日本産科婦人科学会でカンボジア産婦人科学会に協力するプロジェクトがあり、子宮頸がんスクリーニングについての講演およびコルポスコピー指導を行うために出かけてきました。日本からの参加メンバーは大阪大学産婦人科の木村教授、国立成育医療センターの久保先生と私で、現地では国際医療センターの藤田先生が活動されていました。

8月8日カンボジア産科婦人科学会メンバーと面談

カンボジアでの医療事情を踏まえた学会の問題点・日本へのリクエストなどを産科婦人科学会長のカナール先生が説明、それに対して日本側からアドバイスおよび協力できる具体策などを話し合いました。

8月9-10日 カンボジア産科婦人科学会に出席

初日のテーマは子宮頸がんと産後出血、2日目は産科領域におけるカルシウムというテーマで講演が組まれていました(ポスターは無し)。私は「日本における子宮頸がんスクリーニングの経験と教訓」というテーマで英語の発表を行いましたが、英語をクメール語に翻訳するので実質は15-20分程度の話でした。聴衆はカンボジア人産婦人科医が主ですが、子宮頚部細胞診にあまり慣れておらず基礎知識も少ないとの事でしたので、スクリーニングの疫学および細胞診の基礎的な話を行いました。またアフリカなど資源が限られている国で初期病変に対して行われている「cryotherapy」についても触れました。

産後出血に関しては、久保先生がUAEやバクリバルーンの説明を行っていました。私も久保先生も多くの質問を受け、活発な議論が出来て非常に良かったと思います。

海外学会報告   ←私の講演の様子(証拠写真)。子宮頸がんでは他のがんに比較して先進国と発展途上国の死亡率に大きな差があることを示し、スクリーニングによる初期病変発見が有効であることを説明しました。

 

8月10-11日シェムリアップ観光

学会の後はカナール先生の招待でアンコールワットとアンコールトム遺跡で有名なシェムリアップに行きました。雨季でしたが天気に恵まれて遺跡観光を堪能できました。

海外学会報告   ←お札の絵柄にもなっているアンコールワットの写真スポットにて。右側より藤田先生、木村教授、豊島家族x5、久保先生、私の母親です。
     
海外学会報告   ←アンコールトム遺跡のバイヨン(12世紀末から作られたと考えられている)には、昔の分娩の様子を示す石画があります。中央で横になっているのが分娩中の妊婦さんで、両側にそれを助ける人が描かれています。
お産が大変なのは今も昔もあんまり変わりませんね。
     
海外学会報告   ←大木と古代遺跡のコラボレーション。
これを見たくてカンボジアに行ったんです。
豊島家族x3で記念写真。

 

8月12日カンボジア病院視察

最終日はカナール先生、藤田先生の案内で2つの病院を見学しました。カンボジアでは、お金のある人は病気になるとタイやシンガポールなど外国で医療を受けるそうです。公立病院で治療を受ける人は比較的貧しい人が多いとの事でした。最初に訪れたのはカンボジア母子保健センターで、現地ではJapanese Hospitalと呼ばれるくらい日本が協力している病院です。藤田先生もこの病院で勤務していたそうです。非常に多くの分娩を扱っておりカンボジア産科医療の中心です。次に訪れたのは中規模の産婦人科病院で、患者さんはさらに貧しい人が多いようです。かなり限られたリソースの中で頑張っている様子を見ることが出来ました。

海外学会報告   ←母子保健センターの分娩室。
4つの分娩ベッドで年間6000件の分娩を取り扱っているそうです!ベッドとインファントウォーマーという組合せは一緒ですね。
     
海外学会報告   ←分娩セットもあけて見せてくれました。
これも日本とあまり大きな変わりはなさそうです。
     
海外学会報告   ←超音波は3Dの立派なものを3台も使っていました。
Tube病院よりかなり立派・・・妊婦健診に超音波検査は含まれておらず、希望の人にオプション検査として施行しているとの事です(別料金?)。専門の医師がついており、検査結果をレポートとして印刷して渡していました。
     
海外学会報告   ←子宮頸管の模型(日本語!)が部屋に飾ってありました。
ぜひ一つ欲しいっ!!
     
海外学会報告   ←細胞診とコルポスコピーを専門とする女医さん(慶応大学に留学歴あり)、木村教授と一緒に。カンボジアでは病理医不足のため、細胞診やコルポで異常を発見しても「組織診断を行って子宮頸がんを早期に治療」という体制ではないと嘆いていました。
     
海外学会報告   ←街中にあるやや小さめの産婦人科病院。
母子保健センターよりはかなり貧しい印象です。ここは外来と病棟のみで、手術室は少し離れた別棟にあります。4階建てでしたがエレベーターがないので、人力で階段を使ってベッド移動するそうです!!
     
海外学会報告   ←分娩室においてあった体重計。
右側に赤ちゃんを乗せて分銅で体重を測るんです!この器械は何十年も使われ続けているようです。
でもなんでゴキブリが乗っているんでしょう??

 

びっくりする事が多い旅行で非常に楽しかったです。カンボジアは人が親切で料理も美味しいところでした。また何らかの形でこのプロジェクトに関われればと思います。最後になりますが、快くカンボジアに送り出してくれた八重樫教授・中部病院の同僚の先生方(佐藤先生・淀川先生・森先生・工藤先生)と留守番の家族に心より感謝しています。