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海外学会報告

米国周産期学会(Society for Maternal-Fetal Medicine)レポート

佐藤 多代

 2011年2月7日〜12日、サンフランシスコにて第31回米国周産期学会が開催されました。全米ならびに全世界から人も演題も集まり、演題採択率も決して高くなく(今回は約800題採択/1304題応募=採択率61.5%)、残念ながら演題は不採択になったのですが、ご高配により学会とセットで開催されるpost-graduate courseを受講する機会をいただきました。

 空港から時差ボケのまま会場のホテルにチェックインしましたが、その夜はNFLスーパーボウル生中継でロビーのTV前はビール片手にものすごい人集り(ちなみに今年の視聴率は46%)でした。国際学会でよく見かける高名な先生も酔っ払って叫んでいました。

 しかし、翌朝は一転。8:00から17:00まで周産期関連のさまざまなテーマを掘り下げていくのですが、夜中まであれほど盛り上がっていたはずなのに7:45には会場が満席。数ある講義の中からFetal EchocardiographyとControversial Obstetric Management Debate Sessionを受講しましたが、タッチの差で初日は絨毯に体育座り(海外ではよく見る光景ですが)…。

 前者は胎児の心臓スクリーニングについて診断のコツを分かりやすく解説し、講義の最後は SIEMENS社の協力によるhands-onトレーニングまでついていました。「心臓の複雑な形状は連続性をもって診断すること(断片的な診断では不十分)」「妊娠初期(12〜16週)のスクリーニングに経腟超音波検査も活用すること」は、今さらながら個人的に印象に残るポイントでした。

 後者は管理・治療方針について未だ見解が分かれる悩ましいトピックについてのディベートで、今回は「早産既往・子宮頸管長短縮症例に対する頸管縫縮術」「妊娠糖尿病の新基準と管理」「羊水過少を認める後期早産児の管理(分娩か待機か)」など、どれも興味深い内容でした。妊婦健診のシステムや保険制度が異なるため、米国のやり方をそのまま日本に当てはめることはできませんが、治療効果と経済効果が同次元で議論されるのは米国ならでは、と感じました。

 時間と予算の関係上、全ての講義を受講することはできませんでしたが、他にも「肥満と妊娠分娩管理」とか「妊娠合併症の管理」とか興味あるテーマが並び、全てに講義内容のCDがお土産につく(事前にダウンロードもできる)ので、予習復習含め安心して受講できました。お世辞抜きに、講義の面白さに観光する気にならなかった(実際しなかった)のは初めてです。今回は私ひとりでの参加でしたが、複数で参加するとよりお得感がありますね。

 ちなみに、次回は2012年2月6日〜12日にダラスで開催されます。本学会に演題が採択されるということは、少し誇ってよいかも知れません。現在研究中の先生方、若手の先生方、ぜひ来年チャレンジしてみてはいかがでしょうか。機会があれば私もまた参加したいと思います。

文責・佐藤多代