HOME>リプロダクション TOP

はじめに

イラスト

東北大学病院の生殖内分泌グループは現在、医師9名、不妊認定看護師1名と認定胚培養士1名、実験助手1名で構成されています。『我が子をこの手に抱きたい』という人間としてとても大切な気持ちに答えるべく日夜奮闘しております。

私たちの不妊診療の特徴は質の高い内視鏡技術と質の高い生殖補助技術(体外受精、顕微授精)を同一施設で行い、総合的にバランスよく融合させていることです。

例を挙げます。

左右の卵管が何らかの原因で閉塞している方がいるとします。

治療の方法としては次の2つが考えられます。

@ 閉塞した卵管の通過性を手術で回復させる方法

A 体外受精で卵管を介さない受精を試み、受精卵を子宮に戻す方法

イラスト

@ は患者様が元々授かった生殖臓器(子宮や卵管のことです)に生じた何らかのトラブルを修理し患者さん自身の武器で挙児に至っていただく、ことになり、Aは生殖の幾つかの過程を私たちが手助けすることになります。それぞれメリットとデメリットがあります。@に関してのメリットは、なによりも術後卵管の通過性が回復すれば、自然妊娠が1回といわず複数回期待できることであります。デメリットは手術に対する体の負担、必ずしも全例に卵管通過性の回復が期待できないこと、であります。Aに関してのメリットは採卵術以外の手術手技が必要ないことです。しかし、体外受精で期待できる成功率は1回あたり約20-30%であります。(体外受精の成功率に関しては諸施設で多少ばらつきはありますが、現実的にはこの程度の成功率を想定して望むのがどの施設でも妥当なところでしょう。もちろん我々も後述するような最新の機器と熟練したテクニックでベストは尽くします。)これらのメリット、デメリットを患者さんに充分お話しし、相談させていただいた上で我々は治療法を選択します。また、最初に選んだ方法が効を奏さない場合、もう一つの方法に移ることも同一施設で可能であります。

以上述べた内視鏡技術と生殖補助技術の融合は、それぞれの領域のスペシャリストが揃い、かつ麻酔科の先生や手術機器がしっかりと整備されていないと実現できません。東北大学産婦人科は昭和58年の本邦初の体外受精の成功を初めとし、婦人科内視鏡手術においても常に日本のリーダーとして研鑽して参りました。現在のスタッフもそれぞれが日本屈指の技術と知識を持ち、毎日自己研鑽に努めております。