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婦人科癌
―子宮頚癌・子宮体癌・外陰癌―
センチネルリンパ節生検に基づく治療
リンパ節移とは?
がんが始まった場所(原発巣)から、身体の他の部分にがん細胞が拡がることを転移といいます。転移は大きく分けて、がん細胞が原発巣から直接周囲に浸潤していく方法と血液、リンパ液にのって遠くの臓器に転移していく方法、があります。その中でリンパ管の中をリンパ液にのって流れ出たがん細胞が、リンパ節の網にひっかかり、そこで増殖をしてしまった状態をリンパ節転移といいます。
センチネルリンパ節ってなに?
がん細胞が原発巣から最初にリンパ液にのって到達したリンパ節のことであり、“最初に転移の成立するリンパ節”と言い換えることもできます。
センチネルリンパ節の考え方を応用した治療とは?
一般的な「リンパ節郭清」とは転位しているかもしれないリンパ節を摘出するものであり、本当に転移しているかどうかは実際に摘出し病理診断をまたなければならないのが現状です。しかし、当教室では「センチネルリンパ節」と呼ばれるリンパ節だけを摘出する研究をおこなっています。センチネルリンパ節の考え方は、センチネルリンパ節を検索して転移が存在すれば他のリンパ節にも転移が及んでいる可能性があると考えます。逆に転移がなければ他のリンパ節には転移がないと考えます。実際の治療においては、センチネルリンパ節をとって転移を認めなければ、がん細胞が流れていくと考えられるすべてのリンパ節をとる系統的なリンパ節郭清を省略します。この系統的なリンパ節郭清はすべてのリンパ節に転移がないか検索できるという長所がある反面、手術後にリンパ浮腫やリンパ嚢胞などの障害が発生する短所があります。よって系統的なリンパ節郭清を省略できることは患者様の負担の軽減になるのです。この考え方は悪性黒色腫や乳癌、消化器癌など様々な領域でも検討されており、乳癌ではすでに実地医療に導入されています。
婦人科領域ではどこまで進んでいるの?
婦人科癌においては最初に外陰癌で検討され、現在欧米では臨床試験が進行中です。子宮頸癌においてもすでにいくつかの研究成果がだされ、有用性が示されてきています。一方、子宮体癌での検討はまだまだ始まったばかりであり、日々検討を重ねている段階です。われわれの教室では患者様のQOLを重視し、かつ、十分な制癌効果を有する治療を目指し努力しております。以下に当教室で行っている方法を簡単にお示しします。