◆ カトレアの森 お食事会

日時:2010/11/27(土) 11:30~14:30 
場所:「菜時季 “大原”」
参加費:1,500円

 カトレア恒例のお食事会が、会員にも人気の「菜時季 “大原”」で開催されました。
当日は15名の参加をいただき、一の膳、二の膳、デザートにコーヒーと続く、生ゆば主体のヘルシーな和風会席でとてもおいしく、皆で舌鼓を打ちました。

 参加者同士それぞれに、わいわいがやがや楽しい話に盛り上がり、加えて、患者の悩みである、腸閉塞のこと、睡眠障害の話・・・など、お互いに気軽に悩みも打ち明け合い、あっという間に過ぎていった3時間でした。まだまだ話し足りない思いでしたが、皆さんも同じだったようで、別れを惜しむように、最後までアドレス交換をしたり連絡先を教え合う姿があちこちで見受けられ、いつにも増して盛り上がった楽しいお食事会となりました。

◆ 第6回カトレアの森総会 ・ 「岸本 葉子さん 特別講演会」

日時:2010/10/9(土)13:00~15:00
場所:仙台市医師会館 2階大ホール
参加費:無料

 おかげさまで、当会は無事に設立5周年を迎えることができました。
常日頃から温かい励ましとご支援をいただいている皆様方に、心より感謝申し上げます。

◇13:00~ 総会(カトレアの森・会員のみ)
 会員の皆さま方に、平成21年度(2009.10.1~2010.9.30)の事業報告・収支決算報告、並びに平成22年度の事業計画案・収支予算案を発表し、ご承認をいただきました。引き続き、新スタッフ等についての事務局案をご提示し無事ご承認をいただきました。会長は郷内が再任され、引き続き任務を遂行させていただくこととなりました。

◇14:00~ 岸本 葉子さん 特別講演会
『 がんから始まる 』 ~心を支えて、支えられて~

 カトレア設立5周年を記念したこの度の特別講演会では、エッセイストの 岸本葉子さんをお迎えして、ご講演いただきました。岸本さんが体験されたがんは、婦人科がんではありませんが、がんとの向き合い方や活動には参考になることが大変多く、今回の講演では、がんと向き合う私たちがどのように健康を維持していくかを、ご自身の体験を交えながら、分かりやすくお話くださり、勇気と希望を与えてくださいました。

 岸本さんが一番不安を感じたのは退院の時だったそうです。それまで周りに常に居て下さり、コールを押せばすぐに飛んで来て下さった医療者の方が、退院すると周りには誰もいなくなる・・ そう語っていらしたのを聴いて、やはり皆同じなのだなぁと安心しました。その後、そういった心の痛みや不安を和らげるために、自分なりの補完代替療法(日々の食事に気をつけることなど)や、仕事への集中、情報を得ることなどを実践していらしたそうです。それらを継続することによって、『 自分の力でがんに立ち向かっている。自分は努力している 』という実感が得られたと仰っていました。 

  他の患者さんやサポートグループなどとの交流では、心の負担や痛みが軽くなることに気付き、自分も支える側にもまわりたいと思い、NPO法人のHOPE☆プロジェクトを立ち上げ、「希望の言葉を贈りあおう」を合言葉に積極的に活動を展開しておられます。全国から届いた中から選ばれた「希望の言葉」は、『ちょっとだけ凹んでいるあなたへ―希望の言葉を贈りあおう』として、2007年11月に出版されました。『 患者だとどうしても、支えられることが多くなりがちだけど、支えることもできる。そうした自分に気づいて活かしていく。それが目指している患者像です 』と仰っていました。柔らかく優しい語り口に癒された方が大変多かったようで、アンケートの記述にも、「自分ではうまく言い現せなかった心をうまく語って下さったと思います。ガンにかかった人でなければわからない気持をかがみに写せたようでホッとしました。やわらかい語り口に救われました」というお声をちょうだいいたしました。
優しいふんわりした印象の、大変お綺麗な岸本さんでした。貴重なお話を本当にありがとうございました。

◆ 第36回 カトレアの森 茶話会

日時: 2010/9/16(木) 13:30~15:30
場所: 東病棟4階 第5会議室
内容: 腸閉塞(イレウス)予防の為の食事の工夫 ~バランスのよい食事とは~
講師:栄養管理室 室長 岡本 智子先生
参加費: 200円 (年会費納入者は無料)

 栄養管理室室長の岡本智子先生にお越しいただき、『腸閉塞(イレウス)予防の為の食事の工夫 ~バランスのよい食事とは~』と題したお話を伺いました。腹部の治療後は、腸の働きが鈍り、食物をうまく処理し切れずに詰まりをおこしてしまう場合があります。それを回避する為に役立つ、食べ物の選別の仕方、調理の工夫、食事の摂り方などを具体的に教えて頂きました。

イレウスを起こしやすい食品の例と工夫
□不溶性食物繊維:ごぼう・セロリ・たけのこ・山菜・さつまいも・豆・栗・こんにゃく
    野菜は皮や筋を除き、繊維を断ち切る方向に細かく切る
    (ただしみじん切りではなく、噛める大きさに。みじん切りだと飲み込めてしまう為)
□豆類:納豆・大豆・あずき・枝豆など
    納豆はひき割りで、ご飯とは別にしてよく噛む。大豆の煮豆は、こして皮を取り除く。
    あんこは「こしあん」で。 枝豆の薄皮は除いて食べる。(豆の皮にはとにかくご用心を)
□海藻・きのこ類  ⇒ 量を控えめに。
□穀類:玄米・全粒粉・そば・ラーメン・とうもろこしなど・・(食べる量は控えめに)
    ラーメンをどうしても食べたい方は、麺を無かんすいのものやそうめんに変え、
    スープのみラーメンスープで食べることが安心。豚骨ラーメンは脂に注意。
    トウモロコシは、皮が詰まりの原因!コーンスープで味わうのがお勧め。
□硬い繊維の果物:ドライフルーツ・パイナップル・さくらんぼ・プルーンなど
□種実類:ピーナッツ、ごま ⇒ ペースト状のものをいただく

 また、脂質の過剰摂取も負担となり、腸閉塞を起こす原因となるそうです。食事全体の中での油の量は25%までに抑えた方がよく、脂質を含むおかずが何品も重なるのは良くないとのこと。

バランスのよい食事とは・・
・食事をお弁当箱に詰めた場合、全体の2分の1を、主食であるご飯が占める割合
・残りの半分の3分の1は、肉・魚・豆類などの主菜
・同じく残りの半分の3分の2に、副菜が2種類くらい
・見た目に、色がある程度豊富に入っていれば、バランスも取れているということ

□その他の心がけ
・ゆっくりゆっくりよく噛んで、楽しんでチビチビといただきましょう
・食事の時もこまめに水分をとりましょう
・乳酸菌飲料やヨーグルトなどを利用し、おなかの中の環境を整えましょう


 こんな風に、具体的でわかりやすいお話をたくさん伺い、食事がしやすくなりました。
実際には、それぞれの身体による個人差があったり、同じ人間の中でも、その時の状況や体調により、例え同一のことをしても 違う結果が出てくる場合もあります。体調のよい時に、食べることに関して少しずつ試されて、自分に合った食べ方を体得していくことが大事だそうです。自分の身体の状態をよく観察・認識して、上手に食材や量を選ぶ必要があります。その工夫で腸閉塞はだいぶ防げるはずです。食事を楽しみながら、お互いにがんばりましょう。
岡本先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。

◆ 第35回 カトレアの森 茶話会

日時:2010/07/15(木) 13:30~15:30
場所:東病棟4階 第5会議室
内容:患者交流会
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 今回の茶話会は、患者交流会でした。会長の郷内から、これからの当会の予定や、国のがん対策委員として体験したお話などを少しさせていただいたあと、病気を体験した部位別ごとのグループに分かれ、特にテーマを設けず、参加者同士、自由にお喋りをしました。

病気のことを体験者間で話せる機会はとても貴重で、気持ちや状況が分かり合える相手に話を聞いてもらったり、不安を打ち明けたり、アドバイスをし合ったり、励まし合ったり! 各グループ共に、わいわいとかなりの盛り上がりを見せ、予定時刻を少し過ぎての終了となりました。
治療体験者としての生活の工夫や、副作用の出方や対処の仕方など、予備知識として知っておいた方がいいことの情報収集にもなり、語り合うことが薬にもなると実感した茶話会でした。またぜひ、このような機会を設けたいと思います。

◆ 第34回 カトレアの森 茶話会

日時:2010/6/17(木) 13:00~15:00
場所:東病棟7階 SGT室
内容:『在宅でも利用できる社会資源 』 ~介護保険、在宅医療制度のお話など~
講師:東北大学病院 看護部 地域医療連携センター 副看護師長 五十嵐 ひとみ先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 今回は医療制度に関する世の中の動き、介護保険・医療保険で利用できるサービス、地域医療連携センターの役割について五十嵐ひとみ先生にお話を伺いました。少子高齢化社会の到来に伴い、改正医療法では医療機能の分化・連携を推進することを通じて、地域において切れ目のない医療の提供を実現し、質の高い医療を安心して受けられる体制作りが強化されています。病気や怪我で介護が必要になった時、どうしたらいいのか。 自宅で利用できる社会資源にはどのようなものがあるのか。例えば施設ケア(病院)は医師・看護師・薬剤師がセットになっているのに対し、在宅ケアはその利用者に合った組み合わせ・選ばれたサービスでチームを作るバイキング方式と呼ばれ、メニューは実に多岐にわたります。

  自宅で利用できる主な社会資源には、①介護保険②自立支援法③医療保険④その他→民生委員・保健所・ボランティア等があります。中でも認定された人しか利用できない介護保険サービスは、医療費負担が一割で済む反面、要支援・要介護の認定審査が厳しく、年齢や16種類の特定疾病である等の一定要件があり、認定区分によってサービス利用限度額が異なるのが特徴です。自立に向かっての介護保険という前提のもと、患者とその家族にとってどのような介護支援が最も必要であり有効なのか。まずは最寄りの地域包括支援センターや介護支援相談員(ケアマネージャー)とよく相談して選択していくことが上手に制度を利用するうえで大変重要であるとのことでした。

  地域医療連携センターは、主に広報・企画やセカンドオピニオン外来受付窓口の「前方支援部門」、在宅療養や医療費相談と公費申請窓口の「医療相談部門」、がん相談と肝相談窓口の「後方支援部門」の三部門で構成され、患者はかかりつけの病院以外の窓口も利用が可能です。セカンドオピニオン外来では、現在の診断・治療や今後の治療に関する専門医としての意見の提供を受けることができます。がん相談室では、年6回の市民向けミニ講座やタオル帽子の会の企画、患者・家族サロンの開設も行われており、カトレアの森会報等からも情報発信させていただきたいと思います。ご参加の方々からたくさんの質問も出て、具体的なアドバイスを伺いました。

今回のお話は既に医療保険・介護保険や相談窓口を利用されている方だけでなく、いざ病気や介護が必要になった時のご本人とご家族のその後の生活の質を大きく左右する鍵になるのではないかと思います。五十嵐先生、本当にありがとうございました。

◆ カトレアの森 お食事会

日時:2010/05/20(木) 11:30~15:00 
場所:旬肴旬菜「銀禅」

 今回のお食事会は、新緑の薫りただよう定禅寺通り沿いの和食会席のお店「銀禅」。
小雨混じりのあいにくのお天気だったにも関らず、遠く県外から足を運んで下さった方、治療が終わり駆けつけて下さった方など13名の方にご参加いただきました。

美味しい「松花堂」に舌鼓を打ちながら、わいわいがやがやとお喋りの華を咲かせ、あっという間に時間が過ぎてゆきました。参加者の方々からは、「治療後、後遺症に悩み不安を抱えていたけれど、体験者の方々のお話を聞いて、あせらなくていいんだ!と思えるようになった。」 「今日は、楽しい時間が過ごせて良かった。」と感想を頂きました。患者同士の触れ合いを楽しみにご参加下さる会員の皆様の笑顔が嬉しく、これからもそのための素敵な出会い、支えあいの場を企画してゆきたいと思います。

◆ 第33回 カトレアの森 茶話会

日時: 2010/04/22(木) 13:30~15:00
場所: 東病棟4階 第5会議室
内容: 『 リンパ浮腫とセルフマッサージ 』  講話 「リンパ浮腫について」 / 実習 「セルフマッサージ」
講師: 東北大学病院 看護部所属 山谷 美貴先生
(フェルディ式医療 マニュアルリンパドレナージ 複合的理学療法 セラピスト)
参加費: 200円(年会費納入者は無料)

 リンパ浮腫とセルフマッサージについて、山谷美貴先生からお話を伺いました。
綺麗に作って下さった見やすく解りやすい資料を頂戴し、非常に為になる詳しいお話を伺うことが出来ました。長くなりますが、ここに少しご紹介いたします。

リンパ浮腫の発症や症状に個人差があるのは、元々のリンパ管の流れや作りが違うから。
一旦発症すると完治は難しいが、発症初期にきちんと診断をつけて治療を開始、病気について十分に理解しセルフケアを続けることで、悪化させずにうまく付き合うことが十分可能
蜂窩織炎とは・・
  皮下組織の広範囲の急性炎症。患肢の広範囲な発赤、38℃以上の発熱、痛みを伴い浮腫が増強することがある。創傷、細菌感染、過度な肉体疲労が原因となり、白血球が増加し、炎症を示すCRPの値が高くなる。抗生剤の投与と安静を。入院が必要な場合も。
炎症兆候がある時の対応は・・
  リンパマッサージと圧迫療法は中止! 医師の診察を受け、感染の治療を優先。
  氷でコロコロ転がす程度に患部の冷却を。
冷やし過ぎは余計に皮下組織に負担をかけ、回復を遅らせる原因になる。
  そして安静、患肢の高位保持。水分を多めに摂取。悪寒がある場合は身体を毛布などで温める。
「複合的理学療法」は最も基本的で有効な治療法
  ①スキンケア ・・・ 日頃から皮膚の保護・保湿・清潔保持が大切
(血行が悪くなるので皮膚が乾燥しやすくなり、感染症や炎症の原因になりやすいので)
  ②医療徒手リンパドレナージ療法  
    ・・・ 過剰に溜まっている組織間液やリンパ液を柔らかい手技により適切な方向に誘導。
ただし治療法であり、浮腫を予防するものではない。
※ 悪性腫瘍がリンパ管に浸潤し発生した場合の浮腫は相対的な禁忌。医師の指導に基づき行う。
(苦痛を緩和する目的であれば、医師の指導のもと、行ってもいい場合もある)
  ③弾性包帯(バンデージ) ・・・ 弾性着衣による圧迫療法
    患肢末梢から中枢端に向かうに従い、圧を徐々にゆるめるように調整 
(マッサージで良好になった状態を維持し、さらに静脈やリンパ液の流れを促進)
 
  ④排液効果を促す、圧迫下での運動療法
    弾性包帯や弾性着衣をつけ圧迫下で行うことで、リンパ管の弁がくっつく状態になるため、リンパ液が移動しやすくなる
注意点 : 浮腫んでいる所への過度の刺激は良くない。悪化の原因となってしまう。ゆえにマッサージ器の使い方も注意が必要で、あまり圧をかけすぎてはダメ。リンパ管をつぶしてしまい、負担をかける結果に。一番弱い圧で大丈夫。そのあとでまた手で上に上げてあげる。日頃から自分の身体に関心を向け、むくみや皮膚トラブルがないか、毎日直に手で触れセルフチェックを継続することが重要。
むくみが出たら、東北大学病院の場合はまず婦人科の医師に相談。
    必要に応じてリンパ浮腫外来(肢体不自由リハビリ科外来)への紹介をしていただきます。
治療に使用するストッキングや弾性包帯は高額・・。
    しかし平成20年4月1日(残念ながらそれ以前に手術した患者は適応外)から制限つきで保険適応となり、1回2着を限度とし年2回給付可能になりました。
限度額はストッキングで28,000円、下肢 弾性包帯一式で14,000円。

 後半はセルフマッサージのやり方を教わりました。
ここで肢体不自由リハビリ科外来の斎藤看護師さんが加わって下さり、山谷先生と一緒に参加者全員ひとりずつに直に手で触れて下さり、『柔らかい手技』というマッサージの力の入れ具合やコツや感触を教えて下さいました。こういうことはテキストや本だけではなかなか把握が難しいですし、一般のマッサージとは違い、マッサージに入る前処置や流れもありますし、この実技講習が大変有り難かったです。先生方の温かい笑顔や手の温もりやお言葉に、すごく癒され励まされました。リンパ浮腫のことは切実な問題で大勢の方(患者)の関心が高いと思います。茶話会へのご参加者数も大変多かったです。先生方にはとても親身に質問にも答えていただき、皆様方の不安や疑問も解消に繋がっていただけたのではないかと感じています。大変温かい茶話会となり、嬉しく思いました。山谷先生、斎藤先生、本当にありがとうございました。

◆ 大好評!お楽しみ企画「日帰り温泉ツアー」に行ってきました

日程: 2010/03/18(木) 10:30~15:00
場所: 秋保温泉 『岩沼屋』

 今回の日帰り温泉の旅は、秋保温泉 岩沼屋さん♪ またもやお天気にも恵まれました!
こちらにお伺いするのは二度目。今回は滞在時間が前回に比べ長かったので、お食事の前と後に2回温泉に入られる方がいらしたり、近くの佐市商店におはぎなどのお買い物に出られる方もいらしたり、お喋りに花を咲かせる方もいらしたり・・瞬く間に時間が過ぎていきました。お食事は期間限定の雛御膳を頂き、色鮮やかな御まま事の様な可愛らしく美しい雛会席に皆さん感嘆しながら、舌鼓を打たれていました。
やがて3時となり、ホテル前で恒例の集合写真。みなさん、別れを惜しみつつ、また次回の定例会でお会いしましょうと帰りのバスに乗り込まれて行きました。

今回もみなさまの素敵な笑顔と笑い声にお互いが癒され、元気を頂きました。同じ体験をした者同士、世代を超えて、初めてお会いした方もすぐに打ち解け合い優しい時間を共有することができたこと、嬉しい限りです。今回ご参加できなかったみなさまも、次回はぜひお目にかかれますように。

◆ 第32回 カトレアの森 茶話会

日時:2010/2/18(木) 13:30~15:00
場所:東病棟7階 SGT室
内容:『婦人科がん治療後の生活における留意点』 ~ホルモンに関係する症状について~
講師:東北大学病院 婦人科 佐久間 道子先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 今回は閉経・治療に伴うエストロゲン欠乏症に対する治療や自己管理について、佐久間道子先生にお話を伺いました。女性は年齢を重ねていくといずれ閉経を迎えますが、婦人科の病気治療により突然閉経を迎える場合もあります。閉経によるエストロゲンの低下・欠乏で、体や心にはどんな影響が及び、症状として現れるのか。 必ずなるとは限らないようですが、ほてり、のぼせ、発汗、めまい、倦怠感、抑うつ、記憶力低下、膣の萎縮、尿失禁、動脈硬化、高血圧、冠血管疾患、骨粗鬆症など、その更年期様症状は実に多岐にわたります。

 治療にはホルモン補充療法(HRT)があり、メリットとして、症状の緩和、骨折防止、高コレステロール血症の改善、血管機能の改善などの期待ができるそうです。しかしデメリットもあり、乳がん発症、虚血性心疾患発症、脳卒中発症、静脈血栓症のリスク増加などがそれにあたります。そして60歳以上の女性においてはメリットよりもデメリットが上回る可能性があり、5年以上の投与を行う場合は乳がんのリスクが高まるなどの指摘もあるそうです。しかし適切な使用方法と投与期間で行えば、症状緩和やQOL改善につながる可能性があります。ただ、子宮体がんはエストロゲン依存性腫瘍のため、病状悪化のリスクが高く、この治療は禁忌となります。卵巣がんも組織型によってはリスクが高く、子宮頸がんは腺がんの場合はリスクの程度が不明など、部位や状況により様々なようなので、年齢や現疾患、メリットやデメリットを考慮して選択していくことが必要であり、望ましいそうです。

 骨粗鬆症、排尿機能の低下に関してもお話いただき、ご参加の方々からたくさんの質問も出て、実際の生活におけるアドバイスを伺いました。夜間頻尿については、夕方以降、特に就寝前に水分を摂りすぎると尿意を促すので、時間帯を工夫し、それより前の時間帯で日中に水分を摂るならだいぶ緩和するはずとのことでした。そしてもし原因をはっきり調べてもらう場合はやはり泌尿器科の受診をして下さいとのこと。自分で、どの時間帯にどれくらい出ているか、夜間は?等の排尿日誌をつけておくのもいいそうです。また尿の感覚がない方の場合は、4時間位でお手洗いに行く習慣づけをした方がよいとのこと。我慢しすぎると膀胱の組織が伸びてしまい、収縮ができなくなってしまう原因となるそうで、あとで尿失禁の原因になる場合があるのだそうです。

今回のお話は日頃から皆様の関心が高いテーマだったと思いますので、お話を伺い悩みや不安を少しでも解消して頂けたのではないかと思います。佐久間先生、本当にありがとうございました。