◆ 第25回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/12/11(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:『臨床試験を通して ~最新の卵巣がん治療』
講師:婦人科医師 大槻 健郎先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 今回は、臨床試験を通した最新の卵巣がん治療についてのお話を伺いました。まず最初に 「補完代替(だいたい)療法」 (アガリクス・プロポリス・メシマコブ・リンパ球療法・免疫療法など)と、病院治療との違いについてお話がありました。それは、医学的な根拠(エビデンス)があるかどうか。

 エビデンスレベルには信頼性の高低につながる「段階」があり、一定レベル以上のエビデンスがない治療は、信頼性に欠けるので、するわけにはいかない。代替治療は、まだまだ症例報告等の情報量に乏しく、比較試験が行われたわけでもないので、否定は出来ないにしても、病院での治療に使える段階ではなく、病院では、様々な比較試験を経た信頼のおける方法で、責任を持って治療を行っている、とのことでした。そしてもしも自分で何か代替療法を行っている場合は、飲み合わせにより副作用が出る可能性もある為、そういった事態を避けられるようにするため、医師に知らせてほしいとのことです。

 そのほか、「治験と臨床試験」や「生産金額によると、抗がん剤は医薬品の中でかなり占める割合の低いこと」や、現在行われている治験の紹介などがありました。質疑応答ではたくさんの声があがり、丁寧に答えていただきました。そして最後に、

「みなさんの協力によって現在の標準治療はできています」
「責任を持って皆さんの治療にあたっています。それが大学病院の使命です」との

大槻先生の熱く力強いお言葉をいただき、それは参加した一人一人の心に響いたことと思います。
日頃なかなか伺えないお話、初めて聞く治療法などもあり、大変勉強になりました。

行って参りました! お楽しみ企画「日帰り温泉ツアー」!

日程: 2008/11/13(木) 11:00~15:00
場所等: 奥州秋保温泉『蘭亭』 月コース

 毎回とても楽しみにしてくださっている方が多く大好評の日帰り温泉ツアー。
今回もたくさんの方にご参加いただきました。「カトレアの森」の行事はいつもお天気に恵まれ、この日も暖かでとても気持ちのいい気候となり、紅葉しつつある木々がとても綺麗で、蘭亭さんの玄関脇やお庭のもみじが、とても綺麗な色に染まっていました。会員さま同志も、何度か顔を合わせるうちに見知ったお顔が増え、同じ体験をした者同志、安心して心許せる会話が弾んだことと思います。こんな風においしいものをいただき、温泉で心もからだもほぐれ、リフレッシュできることは本当に幸せですね。

今後もまた企画してまいります。楽しみにお待ちください。

◆ 第4回カトレアの森総会 ・ 「松永 弦先生 特別講演会」

日時:2008/10/4(日)13:00~15:30
場所:仙台市医師会館 2階ホール
参加費:無料

◇13:00~ 総会(カトレアの森・会員のみ)
会員の皆さま方に、平成19年度の事業報告・収支決算報告、並びに平成20年度の事業計画案・収支予算案を発表し、ご承認をいただきました。引き続き、会則の改正等について発表し、役員の改選を行いました。
カトレアの森を知っていただく機会も増え、たくさんの方々や、他の団体さまとの繋がりも出来てきて、今後がますます楽しみと感じております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

◇14:00~ 松永 弦先生 特別講演会
『「女性のがんとリンパ浮腫」~リンパ浮腫の診断と治療、セルフケアのポイント』

 婦人科がん治療後に発症する可能性があり、みなさんが不安や悩みを抱えるリンパ浮腫。今回の特別講演会では、仙台でリンパ浮腫外来の先駆者であられる、松永女性クリニック院長、松永 弦先生にお越しいただき、お話を伺いました。正しい情報・正しいケアを知ることで、未然に防いだり、もしリンパ浮腫になってしまっても悪化させずに済むことができるようです。

 一見同じような症状に見えても、蜂窩織炎と急性皮膚炎とでは、その対処や治療法が違うとのことで、自己判断せず、専門知識のある医師に指示を仰ぐことが大切。マッサージのコツや注意点、普段の心がけ。そして本当に大事なポイントは「飽きたらやめる。頑張らない。がまんしない」こと。大変勉強になりました。

今回は会員さま以外にも、医療関係者の方々にも多数足をお運びいただき、質問のコーナーも充実したお話を伺えました。皆様の不安もかなり軽減されたことと思います。ありがとうございました。

◆ 第24回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/9/18(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:『白血球減少症について』
講師:婦人科医師 吉永 浩介先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 血液中の白血球のひとつである好中球は、病原菌と闘う働きがありますが、これが減ってしまう「好中球減少症」は多くの抗がん剤にみられる副作用で、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。したがって、好中球が減る時期には感染症にかからないような注意と工夫が必要です。

 なぜ、抗がん剤治療で好中球が減るのか?いつ頃減少して、どのくらいで回復するのか?減少した場合にどのような問題がおこるのか?どのような対策があるのか?日常生活での注意点などについて、婦人科の吉永浩介先生に教えていただきました。今までよくわからずにいた「血液検査の結果表」の見方も、今回具体的に教えていただき、おかげさまで今後の体調管理に役立てられそうです。

 お話のあとに、たくさんの質問もあり、丁寧に回答していただきました。
「治療を繰り返すと、白血球がどんどん下がってしまい不安だわ」という方には、「抗がん剤治療の場合は下がっていっても、治療を終えると一年くらいで元に戻ってくるよ」というお話に安心されていました。

 抗がん剤治療による副作用の中でも、「白血球減少」はほとんどの方が退院後にかかる副作用。帰宅後にでるその症状は、さまざまで不安なことも多いもの。吉永先生の落ち着いて丁寧なお話を伺えて安心された方も多かったようです。

◆ 第23回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/7/17(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:『闘病中の心のケア』
講師:精神科医師 井藤 佳恵先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 各々抱えている悩みや不安。でもなかなか相談や打ち明けることって難しい。今回「心のケア」を学ぶとあって、始めは緊張していた方々も、井藤先生の落ち着いた優しい語り口にどんどん心がほぐれ楽になっていきました。そして会場はどんどん穏やかな雰囲気に。お話を伺う以外にも、『呼吸法』『凘新的筋弛緩法』『イメージ法』は実際に先生の掛け声で練習してみました。「眠くなりました!」という声も上がる程、確かにリラックスできました。

 発想の転換:物事の受け止め方、見る角度によって心のストレスが違ってきて、気持と行動も変わってくる。心の枠は人それぞれ。ちょっと離れて考えてみる。思ったことはひとつの考えであり、それがいつも正しいとは限らない。 「役割」という視点:『病者の役割を社会の中で果たすこと』命の尊さ、普通であることの尊さ、家族の尊さ、友人の尊さ、時間があるということの尊さ。無理をしないやり方。つらいと言えるようになるということ。よりよく過ごす為、今ふりかかっていることと上手に付き合う。期限を決めたり、人の期待に応えたりしない。臨機応変に、その時に応じた生きる意味を感じとる。

 サポートグループは、統計的に、いいという結果。けれどそれがとても役に立つ人も、参加し却って不安になる人もいるので、自分にとって気持ちがよいものを、その時々で利用すればよい、とのことでした。たくさんの質問に、先生も、会場の方々からも声が上がり、温かな会になりました。心の悩みを話した方。共感した方がたくさんいらしてほっとされていました。更に、先生からの温かいお言葉にどんなにか安心したことでしょう!

◆ 第22回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/6/19(木) 13:00~15:00
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:『夏のスキンケア』
講師:皮膚・排泄ケア(WOC看護) 認定看護師 熊谷 英子先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

WOC(創傷・ストーマ・失禁)看護の概念として、ストーマケア、創傷ケア、失禁ケアのどの領域にも関わる「スキンケア」について、お話をいただきました。

 皮膚の構造、予防的スキンケアと治療的スキンケア、皮膚を清潔にする方法・保護する方法。他に褥瘡予防やスキンケアのトラブルなど、患者本人の生活に活かせるだけでなく、介護ケアにも役立つお話をたくさんいただきました。また、皮膚保護剤の効果について、優良なオムツ製品の性能などについて実際の商品を参加者が手にして効果を試すなど、体験させていただきました。

とりわけ皆さんの注目を浴びた商品 『皮膚を保護し保湿をするクリーム(セキューラDC)』は、乾燥から身を守るクリームということで、リンパ浮腫の感染を予防する効果もあるようです。また余談ですが、これを塗って顔のしわが3本から2本になった!なんていう嬉しい話もあったとか。(ほとんどの商品は、当病院の売店でも手に入るそうです。)

また、多くの質問にも丁寧に回答してくださいました。
・化学療法後、皮膚の色が茶色くなってしまった。
・化学療法後、日焼けでぶつぶつがでるようになった。
・排便ストッパーについて。   など、役立つお話がいっぱいでした。

今年も行って参りました! お楽しみ企画「日帰り温泉ツアー」!

昨年好評だった温泉ツアー、今年も行って参りました。
5/22(木)、場所は秋保温泉、岩沼屋さん。

秋保の綺麗な景色と空気に癒され、おいしいお食事でお腹を満たし、楽しいお喋りで心を満たし、充分にリフレッシュ出来た楽しい1日でした。近くの佐市商店にお買い物に行かれる方、たっぷり温泉に浸かる方、尽きないお喋りに花を咲かせる方、みなさん、思い思いに楽しく時間を過ごされていたようです。

お部屋の担当をしてくださった旅館の方が、気の利いた愉快な方で、ますます楽しく、笑顔の絶えない明るい雰囲気で過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

◆ 第21回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/4/17(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:『私が出会った人たち』
講師:婦人科病棟 看護師長 小笠原 喜美代先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 小笠原師長さんの温かいお心遣いがとても感じられた茶話会でした。わざわざ私服に着替えて来られ、終始気さくで和やかな雰囲気でした。テーブルはみんなが向き合えるように輪に配置をして、今日は敢えて資料は出しません、立ち止まって自分を見つめてほしい、ということで、大変な状況下で懸命にがんばられた方々のお話を伺った他に、各自が紙に書き出すという作業をして、それで気付けたことが多々ありました。

人それぞれに、社会的な存在(妻・母・娘・嫁・社会人etc.)として役割があるということ。役割に対して期待され、応え、それが出来たら自分を褒めてあげる・喜ぶ。自分に向き合う貴重な作業でした。新しい試みの茶話会。参加者のみなさまからも数多くの発言をいただき、とてもよかったと感じました。

◆ 第20回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/3/13(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:最新のがん再発治療
講師:婦人科医師 新倉 仁先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 誰もが関心のあるテーマに、たくさんの方にご参加いただきました。とてもよいお話でしたので、今回参加出来なかった方のためにも、詳しい記録を残します。

◆ 婦人科がん治療には子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんのそれぞれに「治療ガイドライン」が作られており、初回治療についてはほぼ統一した標準治療が確立しているのに比べて、再発がんについてはいまだに「標準治療」というのはない。それほど再発のケースは個別に違いが大きい。医療者はあくまで一般論として患者に伝えることはあっても、どの治療についても個別の効果の予測は不可能で100%効果がある、あるいは効果が0%であると断言はできない。

◆ たしかに再発がんの予後は厳しい。できるだけ無意味で過酷な治療は避けなければならない。しかし根治や長期延命のチャンスも確かに存在する。治るチャンスを逃してはいけない。あきらめの早すぎも遅すぎも厳禁。

再発がんの治療も通常の初回治療と同じく「手術」「化学療法」「放射線」が中心となる。医療者は再発の治療を考えるための情報として
1.もともと何がんか?
2.これまでの治療は?(手術、化学療法、放射線療法、それらの組み合わせ方)
3.どこに再発したか?(再発の大きさと個数)
4.患者の全身状態
などを勘案し、そして「患者さん本人の希望」を最も重視して治療計画を決めることになる。

◆ 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんのそれぞれについて現在行われている再発の治療について、がんのタイプ別(子宮頸がん、体がん、卵巣がん)にガイドラインに基く治療のフローチャートを説明いただきました。また、放射線治療や化学療法の効果についても、具体的にお話いただきました。

◆ お話の締めくくりとして、『がんとの付き合い方について』
体内のがんをゼロにしようと治療をとことん限界まですることが、果たしてベストの選択なのか?がんは残ったとしても『共存』するという発想も時には必要ではないのか?患者と医療者との関わり方もいま大きな転換期を迎えている。患者主体、患者本位の治療が当たり前となってきた、とのことです。

◆ また、患者の免疫力を高めることが治療成績の向上に最も大事であり、患者がいかにストレスの少ない生活を手に入れられるかを医療者は心がけるべきである、と話されていました。いわゆる健康食品についても、度を越えた依存は好ましくないので推奨しない。患者には「正しい情報」を選択する目を養ってほしい、と締めくくられました。

質疑応答も多数寄せられたのに対し、新倉先生より丁寧にお答えいただき、患者のことをきちんと考えてくださっているのがひしひしと伝わり、とてもよかったです。

◆ 第19回 カトレアの森 茶話会

日時:2008/2/14(木) 13:00~15:00 
場所:新東病棟7階 SGT室
内容:「婦人科がん治療とセクシャリティ ~パートナーとの豊かなコミュニケーション~
講師:婦人科病棟 副看護師長 大桐 規子先生
参加費:200円(年会費納入者は無料)

 今回はとてもデリケートなテーマでした。婦人科の病気で治療を受け、体と心にも傷を作り、患者は不安でいっぱいです。パートナーとのことは、なかなか人に聞きにくい、どう聞いていいのかわからない悩みでした。『私は変わってしまったんじゃないだろうか。大丈夫なんだろうか』 きっと誰もが抱く感情だと思います。

今回お話をして下さったのは、婦人科病棟で副看護師長をされている大桐規子先生です。スライドと資料を交えながら、私たちの不安を解消して下さろうと、色々お話してくださいました。「セクシャリティ」は「暮らしの一部」だよ、性を大切にすることは、自分らしい暮らしを大切にすることの一部でもあるのです、と。そして、性行為や性への心情や、「幸せな性」の「かたち」は人それぞれでいいのだ、と。そう聞いて、気持ちが軽くなる想いがしました。

 そして、治療や加齢により起こりうる症状や影響を学び、それにどう対応していくか、考え方と共に、具体的な方法を教えていただきました。数多くの質問にも答えて頂き、もっと詳しく個人的に相談されたい方は、申し込みの上、受け付けて下さるとのことでした。

こういった話には、我々だけでなく医療者側にも戸惑いがあるということも、今回知りました。こういうことを聞いては失礼にあたるのでは?などの不安を抱かれるのだそうです。そういったことを知り、改めて、有意義な会を持てたように感じました。大桐先生、本当にどうもありがとうございました。