菅原準一 研究室 |
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当研究室は、東北大学大学院医学系研究科母児医科学分野として、東日本大震災からの復興事業を推進すると共に、ToMMoの行う地域住民コホート(8万人規模)および三世代コホート(7万人規模)を通じて、生殖−胎児―周産期医学の幅広い視点から、母と子のライフコースを見守る、個別化予防・医療を切り拓きたいと考えています。
1.東北メディカル・メガバンク計画による大規模ゲノムコホート研究
地域住民コホート、三世代コホート調査を基盤として、産婦人科疾患の病態解明を目指して、ゲノム解析および多層オミックス解析を進めております。特に、胎児と両親の遺伝統計学的解析を通じ、家系情報付きのゲノム解析を行うことで、現時点まで明らかにされていない遺伝環境相互作用の解析を進めています。また、オミックス解析によって、病態解明やバイオマーカー探索を進めております。これらの研究は、ToMMoゲノム解析部門、予防疫学部門等、各分野のエキスパートと先生方との強力なパートナーシップのもとに推進されています。
2.妊婦の時系列でのオミクス、ゲノム情報と日々のライフログとの統合情報解析
(マタニティログ調査―プレスリリース)
マタニティログ調査は、三世代コホート調査 の追加コホート調査です。胎児及び母体の健康状態の変化を、日々のライフログ(血圧、活動量、体重、体温、胎動など)と合わせて連続的に情報集積することで、ライフログ、生活習慣および生体情報(ゲノム・オミックス情報)を統合解析します。このことによって、さまざまな胎児・母体の合併症の発症リスクを予測することを目的としていて、2015年9月に本格調査開始、2016年11月に300名以上のリクルートを終了し、現在膨大なデータを解析しております。
本調査は、研究目的に新しく開発したアプリを用いて、健康状態の日々の変化を可視化し、対象者自らがスマートフォンを通じて健康自己管理を行うことで、健康増進に貢献することも目指しています。本調査は、NTTドコモとToMMoの共同研究として行われています。
3.周産期疾患の新規バイオマーカー探索による早期診断法の開発
胎児や母体の周産期疾患の多くは原因不明で、短期的・長期的予後改善のために、新しい発症予測・治療法の開発が求められています。当研究室では、東北大学薬学研究科寺崎哲也教授の研究室とプロジェクトチームを作り、独自のインシリコ技術によるプロテオーム解析によるバイオマーカー探索を進め、早期発症予測マーカー候補を見出しました。
4.周産期医療・母子保健の大災害対応に関する研究
2011年3月11日14:46に発災した東日本大震災は、恒常的な対応が求められる医療に対しても、大きなインパクトを与えました。我々は、大震災が周産期医療に与えたインパクトを厚生労働科学研究として継続してきました。その結果、宮城県における周産期医療体制に与えた影響、全国調査における産科領域災害対応状況、避難所における妊産婦の動向を明らかにしてきました。また、情報共有こそが災害支援のキーポイントであることに焦点を置き、避難所における情報共有マニュアルを作成し、現在全面的な改訂作業中です。今後、研究成果が全国の自治体や医療機関で利活用され、次の大災害時に生かされる必要があります。
5.社会貢献・教育事業 等
- 東日本大震災時の周産期医療と災害復興(Interview:English)
- 東日本大震災の被災地における健康相談会の開催
- あらたな人材育成を目指すALSO Japanによる分娩対処法教育コース
- TOMODACHI initiativeのサポートによる被災地支援、カウンセリング
- 被災地の看護学生を対象とした災害看護研修プログラム(1) (2)
- 国連世界防災会議におけるパブリックフォーラムの開催
☆業績(論文、学会発表、社会貢献活動など)はresearch map に随時更新しております。
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