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研究の目的
この度の東日本震災、特に津波の被害は甚大で、宮城県・岩手県、さらには福島県に居住する妊婦、褥婦は児とともに多くが被災した。さらに福島県では放射能の影響など、今回の災害により住居を移すことを余儀なくされた方も多いが、その実数は把握されていない。また、被災は免れたにしても、医療機関が大きな損傷を受け機能しないために、診療を受ける医療機関を変更しなければならならず、震災後の妊娠行動にも影響を及ぼしている。また診療録が消失してしまったものも多く、全国広く転居せざるをえない状況の中で、医療側にとっても患者側にとっても不便な医療環境下で健康を維持しようとしている。阪神・淡路大震災の事例、あるいは外国における大災害の報告において妊娠高血圧症などの発生、産褥精神病の発現、新生児の発育障害などが一部報告されているが、今回の様な広域での妊産褥婦・新生児が被災した例はない。そこで、本研究では今回の震災にあわれた産褥婦がどのような行動をしたか、およびその中で医学的異常発生や治療の状況を調査する。医療機関の状況と対応も同時に調査し、このような大災害により生じる周産期疾病の特徴と保健医療システムのあり方を考え、将来にわたり妊産褥婦、および児の健康を守る母子保健システム構築を提案する。
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