女性漢方外来

昨年の9月より産婦人科外来に、女性ならではの様々な愁訴に対応する専門外来を設置しました。創設してまだ半年しか経過しておりませんが、これまでに約50名のかたの様々な不快な症状に対して漢方を中心とした治療をおこなって参りました。
女性の一生において、女性ホルモンを中心とした内分泌環境は月経・妊娠・閉経といった劇的な変化をとげ、それに合わせた女性ならではの様々な症状が出現します。
特に、ストレスに満ちあふれた現代女性においては、更年期障害や月経前緊張症をはじめとした、西洋医学だけでは改善しきれないような不定愁訴が増加しているように思われます。これに対して、「心身一如」心と体とを1つにとらえて診療する漢方治療は、このような症状改善に有効な場合を多々認めます。

また、西洋薬の副作用対策としても漢方治療は有効な場合があり、実際に「ピルと漢方薬」、「抗不安薬と漢方薬」といった組み合わせで治療をうけておられるかたもおります。
この外来では、漢方治療医学・西洋医学の両面から、両者のよい点を生かしたアプローチで、女性の皆様のつらい症状の改善を目指したいと考えております。

漢方治療においては、患者様の十分な問診・診察を必要としますので完全予約制での受診となります。
外来開設時間は毎週木曜日午後1時からです。

担当医  武田 卓 (先進漢方治療医学講座准教授)
プロフィール  大阪大学医学部卒、同大学院博士課程卒。
医学博士、産婦人科専門医、内分泌代謝科(産婦人科)専門医・指導医、
日本がん治療認定医機構暫定教育医、同認定医、婦人科腫瘍専門医。
大阪大学産婦人科助手、大阪府立母子保健総合医療センター産科医長、大阪府立成人病センター婦人科副部長、大阪大学医学部産婦人科学内講師を経て、平成20年より現職。

「女性漢方治療に興味のある産婦人科医の皆様へ」

更年期障害、月経前緊張症、月経困難症などに関連した女性ならではの愁訴は、漢方診療においても産婦人科診療においてもかなりの比重をしめる疾患であります。私どもは、内分泌・腫瘍などの西洋医学的な産婦人科専門知識に基づいた医療にプラスαしたかたちでの新しい漢方診療をめざしております。また、いわゆる漢方診療の実地医療にとどまらず、下記のようなテーマでの臨床研究・基礎研究を行っております。

@伝統医療である漢方医学的診察の客観的評価方法開発
東北大学保健学科との共同研究で、下肢血流量評価と漢方医学的診断に関する臨床研究が進行中です。

A婦人科癌患者の不定愁訴対策としての漢方治療
東北大学産婦人科腫瘍外来患者約500名を対象としたアンケート調査を行っております。

B不定愁訴にたいする漢方治療のEBMの確立
現在、確かなプロトコールに基づいた臨床試験を検討中です。

C子宮筋腫治療に対する生薬成分の有効性の検討
細胞、動物での分子生物学的手法を用いた検討を開始しております。また、あらたな動物モデル開発をめざしております。

東北大学産婦人科講座・先進漢方治療医学講座では、このような女性漢方治療の臨床・研究に興味がある産婦人科医を募集しております。

連絡先  Tel 022-717-7254 (直通) take@m.tains.tohoku.ac.jp 武田まで。